「甲子園がないから野球が楽しかったのかも」元球児の作家が見た「甲子園がなかった夏」(2) (5/5ページ)

新刊JP

彼らにメッセージを送るとしたらどんな言葉になりますか?

早見:それは去年も今年も来年も関係なく、とにかく納得して高校野球を終えることを自分に課してほしいです。高校生の3年間でなかなかそれができないのは僕自身もよくわかっていますが、流されるまま毎日を過ごすのではなくて、必死に自分の頭で考えて、自分で選択することを繰り返して最後の瞬間を迎えてほしいと思います。

――自分自身が納得できるラストを目指すのは、甲子園を目指すよりも難しいことかもしれませんね。

早見:そうですね。だからこそ去年の3年生たちはものすごく尊い挑戦をしたのだと思います。甲子園も、甲子園につながる地方大会もないなかで胸を張って高校野球を終えるイメージなんて誰も持てない、特異な状況での3カ月だった。その時間を過ごした経験は、甲子園を当たり前のように目指していた僕の高校野球生活よりもはるかに尊い。取材中はずっと畏怖しながら彼らと向き合っていた感覚があります。

(取材・記事/山田洋介)

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