夢はでっかく天下一!戦国乱世を闘い抜いた天下七兄弟の武勇伝 (3/5ページ)

Japaaan

石突)をさし出す、中黒かゝるきはに命助かりても何にかせんとて、すでに自害すべく見えしかば、辻何とたばかるべきや、神明にかけていつはらじといへば、とりつきたるを辻主従引あげて陣所に帰る、可児見て大に悦びけり、さて辻は物具脱て裸になり、仰に打臥して只今まで敵なりし中黒を物とも思はぬ有様にて物語す、中黒あまりに侮りたるよと心中にいかりけれども命を助けたりし恩を思ひて、さてやみぬと後に中黒此事を語りて笑ひしとなり、中黒後井伊直孝招きて禄二千石あたへられけり……。

※湯浅常山『常山紀談』より「辻小作中黒道随が事」

【意訳】

辻小作は福島正則(ふくしま まさのり)に仕えていたが、可児才蔵(笹野才蔵)と仲が良く、共に武名を轟かせていた。

一方、中黒道随は二人と交流がありながら、石田三成(いしだ みつなり)の客将となっており、関ヶ原の合戦に敗れた際、仲間を先に逃がすためただ一人で踏みとどまって大奮闘している。

それを見た辻小作が中黒道随を討ち取りたいものだと言えば、可児は「何を言うか、あれほど忠義の勇士を討つなどもったいない」と答え、それなら「生け捕りにしよう」と辻小作が一騎討ちを挑んだ。

両雄が闘っていると、中黒道随は馬を深田に乗り入れてしまい、はまり込んで動けなくなってしまう。

「ほら、日ごろのよしみで助けてやるよ」

そう言って辻小作は槍の石突を差し伸ばしてやった。中黒道随は生き恥を晒すまいと自害しかけたが、辻小作が「天地神明にかけて何も偽り(≒騙し討ち、なぶり殺し等)はせぬ」と約束。こうして中黒道随は助けられた。

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