「自分は何も信じられない人だった」川村元気が新作小説で「信仰」をテーマにした理由 (5/5ページ)

新刊JP

それと一緒で、全く信じていないけれど、入った人がいつの間にかのめり込んで最前列にいるということは、宗教に限らず起こり得ることだと思います。

――そうですね。三知男は第一篇の主役ですけど、ああいった形で物語に巻き込まれていくにつれて、どんどん存在感が小さくなっていくというちょっと可哀そうな人物だと思いました。

川村:まさにご指摘の通りで、僕も第三篇までたどり着いたときに、三知男が主人公ではなくなってしまっていて、どうしようと思ったんですよ。本当に事なかれで、ひどいやつなので(笑)

彼から始まる物語ですから、彼を主人公を戻すにはどうしたらいいのだろうと苦悩しました。そのとき、最後のオチを思いついたんです。このラストで彼が主人公になる。神の正体も描けると。

――神へのスタンスを変える三知男や、新興宗教にはまり込んだ響子と比較すると、第三篇の主人公である花音のスタンスは、変わっているようで実は最後まで変わっていないように感じます。周囲の環境は変わり続けているけれど、彼女が信じているものは変わらない。

川村:そうですね。彼女は新興宗教二世ではあるけれども、親から与えられたものではなく、自分で信じるものを見つけていきます。

信じるものを人から与えられるのではなく、自分の目で見て、感じて、自分で決めることができる。現代では、大人ですらそれができない状態になっていると思うんです。だから、この物語の中で子どもがそれをやりきる様子を描きたかったんです。

(後編に続く)

「「自分は何も信じられない人だった」川村元気が新作小説で「信仰」をテーマにした理由」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る