太陽光だけで海水を飲料水に変える装置が開発される。わずか460円程度の材料で一家の飲料水を賄える
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世界では人口の3分の2が水不足で悩まされていると言われている。この問題を解決するために、海水を真水にする技術がさかんに研究されている。
そしてこのほど、マサチューセッツ工科大学などの研究者が、画期的な海水の淡水化装置を考案した。
新開発のシステムは、太陽光の熱と水の自然な循環を利用することで、塩分の蓄積を防ぎ、電気もいらない。しかもどんな家庭にもあるたった460円程度の材料で、1世帯に必要な飲料水をまかなうことができるそうだ。
・従来の淡水化装置の弱点を克服
これまでの太陽光を利用した淡水化システムは、海水を装置内に引き込むために”芯”が利用されていた。
問題はここに段々と塩が溜まって、機能しなくなってしまうことだ。これを掃除するのは簡単なことではない。
そこで新しいシステムでは、面倒な芯の代わりに、仕切りで海水を上下の2層に分けるようになっている。
装置を海水に浮かべると、仕切りにいくつも開けられた穴から海水が上の層へと流れ込む。上部層は熱を吸収しやすいように黒い素材が使われており、水はここで太陽光で加熱されて蒸発。この蒸気を回収し、水として利用する。
このとき、海水に含まれていた塩分が残される。このまま放っておいても、塩分が仕切りの穴を塞いで使えなくってしまうということはない。ここに研究グループの頭の冴えた工夫があるのだ。
実は穴はちょうど2.5ミリに設計されている。というのも、それが水が自然に対流しやすいぴったりの大きさだからだ。
太陽光の熱で温められた上層の水は、塩分の密度が高くなる。その分重くなっているので、穴を通じて下層へと沈み込む。同時により軽い海水が上層へと上がり、そこで温められてと、このサイクルを繰り返す。
海水の対流も気化も太陽光の熱の作用なので、電気も必要ない。
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image credit:MIT
・変換効率は80%、塩の蓄積もなし、しかも格安
研究グループが最大20%の塩分濃度の海水で実験したところ、太陽熱による水蒸気への変換効率は80%以上だったという。また狙い通り、1週間使い続けても、塩の結晶はまったく見られなかったそうだ。
より重要なのは、このシステムをどこの家庭にもある安価な素材で作れるということだ。
研究グループの計算によれば、1世帯が必要な飲料水をまかなうには1m2の淡水化装置があればいい。その程度の装置ならわずか4ドル(約460円)の材料費で作ることができる。
身近な材料で作れ、かつ電気もいらないこのシステムなら、水道が引かれていないような僻地や途上国で暮らす人たちにも飲料水を届けられるようになるとのこと。災害時などに水を確保する緊急用装置としても期待できるそうだ。
この研究は『Nature Communications』(2022年2月14日付)に掲載された。
References:Solar-powered system offers a route to inexpensive desalination | MIT News | Massachusetts Institute of Technology / written by hiroching / edited by parumo
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