子宮頸がん検診を高精度に迅速化する病理AIの開発に成功 - Cancersに論文が掲載 (8/9ページ)

バリュープレス



たとえば、米国の自動スクリーニング支援システムは強力ですが、人間の仕事に置き換わることは不可能とされています。米国では一部の検査センターなどで一次スクリーニングに自動スクリーニング支援システムが導入されていますが、日本のヒト細胞検査士の精度にくらべると精度が悪く、本邦ではあえて精度を落としてまでスクリーニングを機械に任せることはできません。それに、米国以外のさまざまな国や地域が、すべて自動スクリーニング支援システム用の染色を行わなければいけないというのも現実的ではありません。

でも、ディープラーニングを用いたAIであれば話は別かもしれません。ヒト検査士よりもぶれの少ない、よりエラーの少ないシステムが導入できるかもしれないという夢を、本論文は見せてくれるのです。

……と、ここまでで終わってしまうと、あたかも「ヒト vs AIでまたヒトが敗北してしまったな……」という記事に読めてしまいますので、最後にひとつ付け加えておきます。

本論文に掲載されているAIは、じつに2年間の開発期間を経て完成しました。我々が過去に開発してきたAIに比べても、これはかなり手こずった方です。しかし、開発の終盤に、複数の細胞検査士たちに研究に参画していただいたことが功を奏しました。AIのアルゴリズムを考えるにあたり、「細胞検査士たちがこれまで積み上げてきた現場の臨床知」を組み入れてみたところ、すばらしい精度のAIが達成できたのです。

すぐれたAIがあれば人間は不要、とは全く考えていません。人間が現場に関わり続けることで、言語化できる知識もできない知恵も含めて、人間がこれまでディープに学習してきた内容を、AIに実装することができます。今後も、細胞のことを知り尽くした人間と共に、よりロバストなAIを開発し、さまざまな臓器における診断の風景を少しずつ改善していけたらいいと願っています。AIがスクリーニング作業を肩代わりしてくれるなら、細胞検査士も病理医も、自らの技能をより高度な仕事に応用すればいいだけの話。いいことづくめじゃないですか。
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