愛娘を喪った悲しみ…カタブツ平安貴族・藤原実資が「かぐや姫」と呼んで愛した藤原千古。その名の理由は? (2/5ページ)
愛する我が子を喪った実資は悲嘆のあまり泣血(きゅうけつ)……つまり「血の涙」を流して泣いたと言います。
とは言え悲しんでばかりもいられません。翌7月12日になって、実資は陰陽道に詳しい藤原陳泰(のぶやす)に葬儀のアドバイスを求めました。
「手厚く葬りたい気持ちは解りますが、7つまでの子供はこの世のものではありませんから、生まれ直せるよう薄葬にして下さい」
……という訳で実資は、女児に穀織(こくおり。薄織物)の衣を着せ、手作布(たづくりぬの。手織りの簡素な布)の袋に入れて納棺。雑人たちに命じて7月13日、棺を山中に置いて来させました。
「これで良かったのだろうか……」
当時、子供(特に乳幼児)が死ぬなんてよくある話し。7つまでは神様の子ですから、ちょっとこっちへ来たのを召し返されただけのこと……そう思い込んではみても、やはり悲しいのが親心というもの。
「やっぱり嫌だ!誰か、娘を連れ戻して来るのじゃ!」
一晩中、ずっと悩み続けていたのでしょう。悲しみのあまり心神不覚となった実資は、雑人に命じて棺を回収するよう命じます。