太平記の巻十に登場する新田義貞と東村山市の徳蔵寺にある元弘の板碑 (6/7ページ)
しかも昨今はかつてのように、時の政権や軍隊、またはプロの報道関係者に限られているわけではなく、一般の人々がスマートフォンを用い、戦争の状況をリアルタイムで世界中に発信することができる。それゆえ誰しもが、「戦争フレイル」に陥る可能性は大きいと言える。そうした中、「戦争の悲惨さ」「恐怖」「現在や未来への不安」に注目するばかりではなく、今回紹介した、東村山市の徳蔵寺の板碑記念館に収蔵されている「元弘の板碑」造立に携わった時宗の僧たち、そして彼らの思いを今日も引き継ぐ板碑供養など、戦さは確かに悲惨で恐ろしく、不安に満ちたものだが、そうした状況下でも、人の心を失わなかった人々―もちろんそうした人々は中世の日本のみならず、現在のウクライナにも存在していることは言うまでもない―に目を向け、脳の機能低下を防ぐことも肝要ではないだろうか。