古代ローマ人はてんかん治療のために剣闘士の血を飲んでいた (5/6ページ)

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この治療法をたびたび試みて、いい結果が得られた
 1世紀から6世紀の間にかけての全部で8つの資料から、ドイツ、ケルン大学の医学史・医療倫理研究所のフェルディナンド・ペーター・ムーグとアレックス・カレンバーグが確信している。

 彼らは今のところ、てんかん治療薬としての剣闘士の血液について、もっとも包括的な論文と研究を著している。


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・エトルリア人の治療法:血と肝臓

 この治療法の発祥であるエトルリアでは、戦いに敗れた剣闘士は神への捧げもので、死者をあの世へ導く者だと考えられていた。

 このため、剣闘士同士の戦いは死者のためにセッティングされたのだ。同じような習慣は、古代中国、インド、メソポタミア、トラキアでも見られる。いくつかの古代文明では、犠牲者の血を聖なるもの、癒し、厄除けのための物質として利用していたわけだ。

 エトルリアの生贄儀式や医療予後では、肝臓が中心的な役割を果たし、明らかに古代ローマ人はこの知識を拝借して自著の中で引用している。

 てんかんのような病気の怖さは不治だということが、剣闘士の血が効くという幻想が何世紀もの間、意味をもち続けた結果になったと思われる。

 ひとりではなく、何人もの作家や医学者がこの治療法について書いているが、怖ろしい病気に対して、このような治療法を残酷だと言う者はほとんどいなかった。

 「剣闘士の血は、てんかん患者がまるで生命の糧のように飲むものだ」とプリニウスは総括している。

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