黒死病の起源はどこか?700年前の謎を古代DNAで解き明かす (5/6ページ)
「株出現の日付と場所をピンポイントで特定するのは、まだなんとも漠然としたものなのです」
ペスト菌は、5~10年に一度程度の割合で突然変異を起こし、非常にゆっくりと進化すると、ポイナーは言う。つまり、チュイ渓谷の株がほかの地域からやってきた可能性もあるというのだ。
当時のチュイ渓谷の人々は、交易を行っていて、中央アジアやヨーロッパを転々としていた。
例えば、西ヨーロッパへの旅の途中で、菌株を持ってきてしまった可能性はあるかもしれない。
この株は変異が遅いため、西ヨーロッパからの株が、遺伝子的にチュイ渓谷のものと似通って見え、いつ、どこで発生したのかを見分けるのが難しくなっている可能性はある。
こうした異論があるにしても、今回の研究は、黒死病研究者が何年もかけて解明しようとしてきた疑問へのひとつの答えとなりえるもので、黒死病発生時の歴史を理解する上で、重要なものだと、ポイナーは述べている。
「西ヨーロッパで黒死病が流行った10年前にも、同じ地域でやはり疫病が発生していたことがわかっています。