銃で4人を殺害した元大学教授。殺人者が科学論文を発表することは許されるべきなのか? (4/6ページ)

カラパイア



ファブリカントが刑務所で相変わらず論文を発表できるのは怪しからんことなれど、誰かから正当な研究成果を発表する機会を奪うのでは、学界に深く根ざした信念に反するというのだ

[画像を見る]

photo by iStock

・科学のモラル主義が科学の発展に影響を与える可能性
 科学的な研究を評価する際に、それを行なった科学者の倫理、行動や信条を考慮することがますます普通になってきているという。

 たとえばジングラ教授は、アメリカ国立科学財団とアメリカ国立衛生研究所が、科学者のモラルを科学への参加資格に結びつけていると指摘する。

 なんらかの反モラル的行為が明らかになった研究者は、政府からの助成金の対象にはならないし、そのような行為で非難されただけでも、研究論文の査読者になれなくなる。

 こうした不謹慎な輩が助成金を手にしたり、栄誉に浴するのは好ましいことではないのは当然のことだ。

 だがジングラ教授は、このモラル主義がやがて科学の発展に影響を与え、検閲機能として働いてしまうことを懸念する。

 善良な人間ではない、品行方正ではないという理由で、世界に革新を起こすようなアイデアが否定されていいとは限らない。というのが彼の主張だ。

 ジングラ教授によれば、助成金の申請や発表の論文の要件に、多様性・公平性・包括性を義務付ける最近の動きは、検閲への一歩となる可能性があるという。

 科学者は、道徳的な立派な人物であることに越したことはないし、そうあるべきだ。だが、現実は必ずしもそうではない。

 ここで彼が言っているのは、非倫理的な研究ということではなく、日常の素行が悪く、過去に問題行動を起こした科学者当人のことだ。
「銃で4人を殺害した元大学教授。殺人者が科学論文を発表することは許されるべきなのか?」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る