脳を貫通した銃弾により、世界が逆さまに見えるようになったスペインの兵士 (1/4ページ)
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スペイン内戦中の1938年、ある兵士が銃で頭部を射抜かれ地面に倒れた。奇跡的に一命をとりとめた男性が2週間後に意識を回復した時、見える世界が激変した。
彼は、これまで見えていた景色がすべて逆さまになっていたのだ。天井が下にあり床が上にある歪んだ世界だ。
この男性の症例を調べた神経科学の研究者らは、実験では倫理的に不可能な、人間の心の仕組みを研究することができたという。
・脳に銃弾が貫通するも、奇跡的に健康状態を取り戻した兵士
彼(患者Mとする)のこの症例が明らかになるまで、脳は厳密に境界がはっきりした、重なることのない個々の領域で構成されていると、神経科医たちは考えていた。
しかし、患者Mの壊れてしまった感覚器官は、こうした考えに異議をとなえ、フスト・ゴンザロ・ロドリゲス=レアルという医師が、脳力学の新たな理論を展開した。
1936年から1939年にかけて起こったスペイン内戦は、全土を巻き込んだ残忍な紛争で、結果的にフランシスコ・フランコの独裁政権が樹立された。
当時、25歳だった患者Mは兵士で、1938年5月、バレンシア州レバンテの戦場で頭を撃たれた。
2週間の昏睡状態から奇跡的に目覚めた患者Mは、左目は見えず、右目もかすかに光を感じることができるだけだったという。
頭蓋に銃弾が貫通した穴がふたつあいた患者Mが、手術や特別な治療を必要とすることなく、元気になったことは、医師たちをかなり困惑させた。