大河「べらぼう」繁盛しても地獄の吉原。五代目・瀬川花魁(小芝風花)の運命を左右した3冊の本【後編】 (5/6ページ)
女郎は世間知らずが多いので身請け後に苦労すると聞くが、この本を読めば必要な知識はすべて身に付く」と、あまりにも無神経な説明を真剣にするのでした。
たぶん、その瞬間、全視聴者が「そうじゃない!」と総ツッコミを入れたことでしょう。
女性用の教訓書だった『女重宝記』『女重宝記(おんなちょうほうき)』とは、女性が日常生活に役立つ知識や身に付けておくべき教養などを、項目ごとにまとめて解説した百科事典風の書物でした。
女中万たしなみの巻・祝言の巻・懐妊の巻・諸芸の巻・女節用集字尽の巻などの五巻があり、いわば女性用の教訓書のようなものだったのです。
「この本を読めば大丈夫だ」と嬉しそうに説明する蔦重の、恐るべき鈍感力にはイライラした人が多かったでしょう。
「重三にとって、わっちは女郎なんだね……吉原に山といる救ってやりたい女郎の1人」と、表情を曇らせ声のトーンが悲しげになっていく瀬川の様子に気が付かないどころか、「そういう、いっぱいいる女郎の中でも特別に幸せになってほしい!」と、さらに絶望的な言葉を吐いてしまいます。
浮かんだ涙をこぼすまいと気丈に上を向いた瀬川は、「ばからしゅうありんす」と言いつつ受け取り「ありがとうござりんす。せいぜい読み込みいたしんす」と去っていきます。
今まで蔦重のために行動してきた瀬川の胸中を思うと、まさに胸が痛む場面でした。
瀬川が去っていった後、「あいつ怒ってたか?」と九郎狐(声:綾瀬はるか)に問いかける蔦重。あまりの鈍感さに「ば〜か!ば〜か!」と九郎狐が腹を立ててしまう始末でした。