大河『べらぼう』蔦屋重三郎・瀬川・鳥山検校、それぞれの「夢噺」と「苦悩」を回想しつつ考察【前編】 (6/8ページ)
身請けされ吉原を去っても瀬川の夢は続く
一方、元花魁・瀬川の夢は「蔦重の存在」そのものでしょう。
幼い頃から仲良しで、遊女になってからは妓楼に貸本屋の蔦重が持ってくる貸本を楽しみにしていた読書家の瀬川。ただ本を借りるだけではなく、本を通して「面白かった」「面白くない」などと蔦重とやりとりするのも楽しみにしていたことでしょう。

吉原で仲良くおしゃべりをする蔦重と瀬川のイメージ。(ac-illust)
莫大な財産を持つ鳥山検校(市原隼人)に、1400両(1億4000万円程度)もの破格の金額で瀬川を身請けされ、瀬川改め瀬以となり「華やかな花魁」から「物腰の柔らかい若奥様」の雰囲気になりましたが、どこか検校といるときも寂しそうな表情。
蔦重とぽんぽんと威勢のいい会話を丁々発止と交わし「おきゃんな江戸娘」といった明るい瀬川の面影はまったくありません。