大河『べらぼう』過去回シーンが伏線に…凄惨な過去の亡霊に苦しむ歌麿、救えぬ蔦重【前編】 (7/7ページ)
蔦重は、思わずカッとして「創作するときは生みの苦しみがあるんだ!」と、声を荒げてしまいます。自分自身の不甲斐なさに苦しんでいることが伝わるシーンでした。
歌麿は溜まった塗りつぶしの下絵を持ち、廃寺の中に隠そうとして外出します。そして、たまたま出会った女性の姿に母親を重ね、そばにいた浪人を自分が殺した浪人だと思い込んで、殴り殺すところでした。
後をつけてきた蔦重に止められ「描けない…こんな人殺しが描いた絵なんか見たいんだろうか」と涙をこぼします。
そんな歌麿を抱きしめながら「俺は見てえけどな」という蔦重ですが、いつものあの人ったらしプロデューサーらしい「俺!その本見てえ!」とクリエーターをやる気にさせる“キラキラ感”がまったくありませんでした。
本人も「こんな、言葉じゃあ伝わらねえな」と思っていたことでしょう。
歌麿のことは、人として2回助けることができました。けれども、自分の力では「絵師として花を咲かせられない」ということに気が付いてしまうのは、本当に辛いものでしょう。ずっと抱いていた“夢”なのですから。
蔦重は、ビジネスを成長させる“夢”は叶えていますが、愛する瀬川(小柴風香)を幸せにできなかった、尊敬する源内を助けられなかった、弟として可愛がっている歌麿を救うこともできない……失った“夢”も背負っています。
そんな、歌麿と蔦重を助けたのが、耕書堂を訪れた鳥山石燕でした。
石燕が、歌麿を過去の亡霊から解き放ってくれたのでした。【後編】に続きます。
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