『べらぼう』二人の固い絆が切れた──歌麿にとっての”招かれざる客”は愛する蔦重だった…【前編】 (5/6ページ)
そのほうがあいつらも喜ぶしな」と、自分の経験を話します。
実際に、本屋の息子に生まれ数多くの弟子の面倒を見てきた重政なだけに、歌麿のアーティストとしてのこだわりもわかるが、蔦重が売り手として「今が売り時!無理を承知で大量に売って、耕書堂の名前と絵師・歌麿の名前を江戸中に広めたい」と考える気持ちも理解できるのでしょう。
すれ違う蔦重の思いと歌麿の思い
重政先生の言葉を聞いて“自分は身勝手なんですよね。一点一点を心を込めて大切に描きたい” “蔦重…本屋にもっと自分と向き合ってほしい”と言う歌麿。
尊敬していた師匠・鳥山石燕(片岡鶴太郎)が亡くなり、妻・きよ(藤間爽子)が亡くなり、頼れる存在だったつよが亡くなり、また一人に戻ってしまった寂しさ。そして、二人で「きれいな作品を残したい」が夢なのに、大量に売ることばかりに夢中になり、作品を(自分のことも)大切にしなくなった蔦重に、寂しさも感じたでしょう。
けれども、歌麿の描いた美人画が売れ、そのおかげでモデルの看板娘がいる店が儲かり、江戸に経済の活気が戻る兆しがでてきたのも事実。