『豊臣兄弟!』娯楽としては満点!でも引っかかる…“信長像”に残った歴史好きの違和感 (6/7ページ)
しかし、まさにその徹底した合理的判断があったからこそ、信長は戦国大名として頂点へと上り詰めることができたのだと考えられます。
このような死生観を持つ信長にとって、秀吉が嵌められたと承知のうえで調略に赴き、命を落としたとしても、それはあくまで「結果」がすべてという基準に照らせば、評価に値しない結末に過ぎなかったのでしょう。
まとめにかえて~『豊臣兄弟!』のもつ影響力~今回の放送回を含め『豊臣兄弟!』で描かれる信長像は、従来の「冷血漢」とも、「合理的革命児」とも少し異なります。そこにあるのは、どこか現代的で、時には温かな人間味をまとった人物像です。
しかし、その姿に戦国という苛烈な時代を生きた信長像を重ね合わせると、そこに多少なりとも“揺らぎ”を感じるのも事実でしょう。
だが考えてみると、その揺らぎこそが『豊臣兄弟!』という作品の魅力なのかもしれません。歴史そのものを忠実に再現するのではなく、現代の視聴者が共感できる人物像へと再構築する。
だからこそ、この大河ドラマは娯楽として抜群に面白い。そして同時に、歴史好きに「本当の戦国とは何か」「人々を引き込む魅力ある歴史とは何か」を改めて考えさせる力を持っているのではないでしょうか。