組織と人材のミスマッチを減らせるか 生年月日×統計解析×AIで人物傾向を探る「ETOGRAM」 (4/5ページ)
リモートワークの広がりで、従来以上にコミュニケーションが希薄になっている現状も、需要を後押しする要因とみている。
今後、AIによる人物分析はさらに広がると永尾氏はみる。ただ、心理学をベースとした性格診断であっても、個人を断定するものではないというのが同氏の考え方だ。ETOGRAMも同様に、「採否を機械が決める」ための道具ではなく、人への理解を深め、対話の質を高めるための意思決定支援ツールに位置付ける。
数値やラベルで断定するのではなく、強みとリスクを同時に示し、面接、配属、育成における確認ポイントとして使う設計としている。最終判断はあくまで人が行い、本人の実績や希望、置かれた状況とあわせて解釈することが前提だ。運用面でも、利用目的の明確化、本人への説明、必要最小限の活用といった、データ活用における倫理を重視する方針を示している。
採用はこれまで、「面接をして入社してみなければ分からない」という賭けの要素を残してきた。永尾氏は、今後は入社前の段階で「どう扱えば力を発揮しやすいか」という仮説を持ち、配属や上司、目標設計、育成手順まで含めて受け入れる時代になるとみる。
ETOGRAMのような仕組みが広がれば、属人的な勘や経験を、再現性のある共通言語に置き換えられる可能性がある。結果として、早期離職や不祥事の予防、マネジャーの育成負荷の軽減、多様な人材が力を発揮しやすい組織設計につながるという見立てだ。
永尾氏は、企業や組織が目指す方向性と、求める人物像とのミスマッチこそが、双方にとって大きな損失になると語る。少子化が進むなか、限られた人的資産を最大限に生かす一助にしたい考えだ。