2024年紅麹事案 研究解説「我々紅麹業界に何が起こったか」行政は本当にプベルル酸を同定できているのか その2——NIHS(国立医薬品食品衛生研究所) (3/7ページ)
・ B1:小林製薬が2024年3月30日にNIHSへ送付した単離品
・ B2:北里大学が2024年3月31日にNIHSへ送付した合成品(標準品)
・ A1:小林製薬が「製造ロット中に未知物質が存在した」とした製造ロット
・ A1〜A44等:最終製品(紅麹コレステヘルプ)の各対象ロット
・ ①:小林製薬が自社で同定試験に使用した試料(社内試験、本稿対象外)
・ ②:小林製薬が7日間動物実験に使用したとされる試料(社内試験、本稿対象外)
2 B1・B2のNMR確認——ここまでは一応成立している
NIHS開示文書(3章)によれば、B1(小林製薬単離品)およびB2(北里大学合成品)については、¹H-NMR、¹³C-NMR、¹H-¹H COSY、¹H-¹³C HMQC、¹H-¹³C HMBCを測定し、既報(Goh Sennari et al., Chemical Communications 63, 2014)のacetone-d₆中のNMR値と「ほぼ一致した」と記載されている(表3)。
【表3の主要NMR比較値(抜粋)——acetone-d₆測定、論文値との対比】
Position 3,6(¹H NMR):論文値 7.94(s) / B1 7.94(s) / B2 7.94(s)
Position 1,8(¹³C NMR):論文値 159.5 ppm / B1 159.4 ppm / B2 159.4 ppm
Position 2,7(¹³C NMR):論文値 155.5 ppm / B1 155.5 ppm / B2 155.5 ppm
Position 5(¹³C NMR):論文値 167.5 ppm / B1 167.4 ppm / B2 167.4 ppm
B1とB2については、論文値との一致が確認されており、この範囲では「両者がプベルル酸である」という確認は成立している。ただし後述するように、これはA1(製造ロット)のプベルル酸同定とは別問題である。
なお、B1についてNIHSは「溶け残りが認められたため上清をNMR用標準溶液とした」と記載している。