2024年紅麹事案 研究解説「我々紅麹業界に何が起こったか」行政は本当にプベルル酸を同定できているのか その2——NIHS(国立医薬品食品衛生研究所) (4/7ページ)
純度95.4%(小林製薬提出資料P17)の試料が一部不溶であったことは、試料の均一性・代表性に対する追加的な疑問を生じさせる。
3 UHPLC/HRMSの結果——図2が示す決定的な保持時間の乖離
NIHS開示文書の図2(UHPLC/HRMS用PA標準溶液および検体A1のUHPLC/HRMS分析結果)には、三つのTICクロマトグラムが示されている。
B1(小林製薬単離品) 保持時間:約 1.50 min
B2(北里大学標準品) 保持時間:約 1.55 min
A1(製造ロット) 保持時間:約 2.27 min
▼ A1とB2の保持時間の差:約 0.72〜0.77分
UHPLCにおいて保持時間の差が0.7分以上あることは、通常の分析化学的判断において同一物質とは評価できないレベルの差である。これはA1がプベルル酸であることを否定する方向のデータである。
4 本文と図2の自己矛盾——NIHS報告書の致命的瑕疵
NIHS開示文書(3章B.結果、p.10)には、以下の記載がある。
「さらに、4章で取りあつかう『紅麹コレステヘルプ』中に含まれるプベルル酸(PA)の定性分析の予備検討として、検体A1についてもUHPLC/HRMS分析を行ったところ、同じ保持時間に同じMSスペクトルを示すピークを認めたことから、検体A1についてもPAが含まれると考えられた。」
しかし、同じ報告書の図2(UHPLC/HRMS用PA標準溶液及び検体A1のUHPLC/HRMS分析結果)を見ると、A1のピークは保持時間2.27分に存在し、B1(1.50分)・B2(1.55分)とは明確に位置が異なっている。
本文は「同じ保持時間」と述べ、図は「異なる保持時間(差0.72〜0.77分)」を示している。これは同一文書内における自己矛盾であり、科学的報告書として致命的な瑕疵である。
考えられる解釈は二つしかない。