2024年紅麹事案 九州大学今坂論文への疑義申立——「プベルル酸が同定されている」という前提なき断定への異議—— (2/6ページ)
1 今坂論文への疑義申立とその経緯
今坂論文は、九州大学の今坂藤兵衛氏らが執筆し、2024年の紅麹事案を対象とした研究である。論文はプベルル酸(puberulic acid、以下PA)が紅麹サプリメント中に存在したという事実を所与のものとして、PA生成の機序・汚染経路・リスク評価等を論じている。
今坂論文の内容については、wellness-news(https://wellness-news.co.jp/posts/260409-2/)においても取り上げられている。弊社が同論文に対して疑義申立を行ったのは2026年4月23日であり、その核心は次の一点である:
「紅麹原料および紅麹コレステヘルプにPAが含まれていた」という事実は、
行政によって公的に証明されていない。
今坂論文はこの未証明の事実を前提として成り立っており、したがって論文の科学的根拠は根本的に揺らいでいる。
2 「前提」の内容とその問題点
今坂論文が前提とする「PAが紅麹原料・最終製品に含まれていた」という命題は、以下の二つの事実確認を必要とする:
・ 製造ロット(紅麹原料、検体A1)にPAが含まれていたこと
・ 市場流通製品(紅麹コレステヘルプ、検体A16〜A44等)にPAが含まれていたこと
弊社が前号(㊱)で詳述した検体表の分析によれば、検体A1(製造ロット)の保持時間(約2.27分)は、確認済みPA標準品B2(約1.55分)と約0.72〜0.77分の乖離があり、UHPLC分析において同一物質とは評価できないレベルの差が存在する。