小林製薬紅麹事件研究解説 誤った正義感が紅麹市場を破壊したFDA裁判・食薬区分25年の歴史と、企業名公表プロセスの開示請求 薬系研究者・役人の視点で考察 (3/8ページ)
2(2) 2015年機能性表示食品──制度の不完全性
2015年に機能性表示食品制度が導入された際も、モナコリンK含有紅麹サプリメントの薬機法上の位置づけは明確化されなかった。「コレステロールを下げる機能がある」と届け出られた紅麹サプリメントは機能性表示食品として受理され、事実上、スタチン系医薬品と同一の薬理作用を標榜した食品が市場に流通し続けた。
この25年間の不作為の構造を整理すると、以下のようになる。
[資料: https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM4NzA5MSMzNzQxMzMjMzc0MTMzXzI2NjkwOTU1NTNjMDQxZjE1NjcxYjgyNWU0ZTY1NDAyLnBuZw.png ]
3 薬系研究者・役人の視点から見た企業名公表──私の仮説
以下は、現時点では文書的裏付けのない私の仮説である。しかし、行政の行動パターンと歴史的文脈から見て、十分に整合性のある推論であると考える。
3(1) 「誤った正義感」仮説
薬学の訓練を受け、モナコリンKとスタチンの等価性を熟知している研究者や行政官であれば、紅麹コレステヘルプのような製品が食品として流通し続けていることに、以前から強い問題意識を持っていたはずである。FDAは2001年に司法判断を確定させた。にもかかわらず日本では同様の製品が20年以上にわたって食品として販売され続けた。
2024年の小林製薬問題は、この文脈において「千載一遇のチャンス」と映ったかもしれない。政府の判断により、コレステヘルプは薬機法違反としての回収は行われなかった。しかしその代わりに、企業名公表という行政手段が選択された。