「働きたいシニア」と「人手不足の企業」なぜすれ違う? シニアの“経験資本”を社会実装する挑戦 (2/3ページ)
プロビジョンシェアの最大の特徴は、一人のプロ人材をフルタイムの高給で抱え込むのではなく、「週数時間」「月数回」といった具合に、必要なときに必要な分だけ知見を借りる仕組みにある。これにより、予算に限りのある中小企業でも、現実的かつ導入しやすい形でトップクラスのベテランの力を経営に活かすことができるのだ。
さらに近年では、熟練のシニアCFO(最高財務責任者)と若手のAIリモートチームを掛け合わせた「経理DXパートナー」事業も展開。慢性的な採用難とDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れという、日本企業が抱える“2大課題”を同時に解消する伴走型支援として、導入現場から高い評価を得ている。
外資系出身者が銚子市の自動車販売会社へ。地方創生の鍵プロ人材機構がいま特に力を入れているのが、「シニア×地方創生プロジェクト2026」だ。地方銀行やファンドと緊密に連携し、日本中の課題となっている「事業承継」と「中小企業支援」を推進している。
単に人材を紹介して終わる“点”のビジネスではない。企業や業界固有の課題に対応できる後継者を斡旋し、さらにその後継者の右腕となる実務型顧問を選定。半年から1年というスパンで現場の泥臭い部分にも入り込み、組織の変革を支える“線”の支援へと軸足を移している。
その象徴的な成功事例が、千葉県銚子市で長年愛されてきた自動車販売会社「塙商事」の事業承継だ。
新たなトップとして白羽の矢が立ったのは、外資系自動車メーカー出身の越田正浩氏だった。越田氏は着任前にもかかわらず何度も現地へ足を運び、自ら店舗前の交通量をカウントし、地元の人々と関係を築きながら覚悟を固めていったという。着任後も古参社員や元社長と丁寧な対話を重ね、わずか2か月で代表取締役社長に就任。現在は地域に根ざした企業としてのDNAを引き継ぎながら、新たな改革を推し進めている。
「定年」を“キャリアの変容”に変える「定年を人生のゴール(終着点)ではなく、『キャリアのトランスフォーム(変容)』と捉える社会をつくりたい」と高橋氏は語る。