地方医療は「治す」だけで維持できるのか、「点」から「面」への分かれ道 (1/3ページ)
人口減少と高齢化が進む地域では、病気になってから治療する従来型の医療だけでは、住民の生活を支えきれなくなりつつある。北海道安平町でも高齢化率は高く、地域医療の担い手確保は構造的な課題である。こうしたなか、医療法人社団並木会・渡邉医院の理事長、渡邉覚文氏は、脳梗塞や骨折などを発症前に防ぐ予防医療に力を入れる。地域医療は「点」から「面」へ移行できるのか。その試金石を探る。
なぜ地方医療は「発症後対応」だけでは限界なのか地方医療の課題は、単に医療機関の数だけでは語れない。高齢化により慢性疾患や骨折リスクを抱える住民が増える一方、医師や医療スタッフの確保は容易ではない。厚生労働省の医師偏在に関する資料でも、地域間で医師数に差があることが示されており、北海道の一部医療圏も医師不足の課題を抱える地域として位置づけられている。
北海道安平町で診療を行う医療法人社団並木会・渡邉医院の理事長、渡邉覚文氏は、防衛医科大学校を卒業後、自衛隊医官として勤務し、北海道での赴任経験を通じて地域医療への関心を深めた。同氏はその後、えりも町でへき地医療に従事し、地域内の救急患者に対応する現場を経験したという。
渡邉氏によると、重篤な患者を救急車で帯広まで搬送することもあり、限られた医療資源の中で一つひとつの判断が患者の予後に直結する状況だった。そうした経験から、脳出血や骨折などが起きた後に対応するだけでは、生活の質を守りきれないという問題意識が強まったと話す。
ただし、予防医療への転換は理念だけでは進まない。地域住民の受診行動、検査体制、医師の説明負担、継続的なフォロー体制がそろわなければ、発症前介入は一部の取り組みにとどまる可能性がある。
頸動脈エコーと骨密度測定が示す予防医療の現場
渡邉医院では、乳幼児から高齢者まで幅広く診療し、1日70〜80人ほどの患者を診るという。