橋下市長の鞍替え衆院選出馬に創価学会幹部「許せないのひと言」

デイリーニュースオンライン

「公明党の原点に帰るための戦い」は何を意味するのか
「公明党の原点に帰るための戦い」は何を意味するのか

 衆議院解散が決まった11月18日、大阪では橋下徹大阪市長(維新の会共同代表)が国政進出に向けて動き出した。

 維新の会の小沢国会議員団幹事長は、橋下市長が衆院大阪3区、松井大阪府知事(同党幹事長)が衆院大阪16区から、それぞれ出馬の準備に入ったと明かした。すでに同党では、大阪府知事、同市長の後継者の検討に入っているという。

公明現職当選の選挙区に殴りこむ維新ツートップ

 衆院大阪3区、同大阪16区はどちらも公明党の牙城といわれる選挙区だ。大阪3区には佐藤茂樹前厚生労働副大臣が、同16区には公明党幹事長や国土交通大臣も務めた北側一雄副代表と、それぞれ公明現職が現在議席を持つ。

 橋下、松井の維新ツートップの出馬は、かねてから橋下市長が中心になって推進する「大阪都構想」で対立する公明党への意趣返しとの声も上がっている。

 大阪都構想を巡る橋本・維新対公明の戦いの舞台が次回衆院選へと移った18日夜、公明党唯一の支持母体にして創設団体である創価学会副会長の2人の有力幹部A氏とB氏から「あくまでも学会、公明党の公式見解とは関係のない匿名の個人」として話を聞くことができた。次回衆院選で、創価学会はこれら一連の動きをどうみているに迫ってみたい。

学会副会長2人が匿名で取材に応じた

――維新の会共同代表の橋下大阪市長、同会幹事長の松井大阪府知事の大阪での出馬をどうみられますか?

「許せないのひと言です。大阪3区は大正区・住之江区・住吉区・西成区と、日雇い労働者の方や中小零細企業主と従業員が数多く住む地域。公明党でなければ対応が難しい。そこに橋下が土足で踏み込んできた。屈辱だね」(創価学会副会長・A氏)

「私は、橋下は公明と学会を相当恐れているのだなと思いましたよ。出馬予定の選挙区でわかりました。強いていえば、時流に乗って維新寄りの報道をするあなたたちマスコミのほうがウチ的には困ります」(同・B氏)

――橋下市長が公明と創価学会を恐れているというのは?

「本気で公明・創価に喧嘩を売るなら大阪16区から出馬するはずだから。ここは北側副代表の選挙区。弁護士出身で創価大卒の北側さんは、次代の公明を担うプリンス。そんなところをつつくと全国の学会員さんを橋下は敵に廻す。恐らくそうした事情も橋下はわかってたんじゃないかな。佐藤前副大臣は京都大卒。創価大卒ではないから学会婦人部も選挙での熱の入れ方がまったく違う」(B氏)

「大阪3区選出の佐藤茂樹前厚生労働副大臣は優秀な人材。でも、前の副大臣だ。公党の党首が政治家としては格下の前副大臣の選挙区に殴りこみとはお笑い種です」(A氏)

――橋下市長といわゆる大阪都構想で対立しましたが公明党が「大阪都」に反対の理由は?

「政治と宗教はきちんとわけなければならない。選挙支援の話はしても、公明党の政策については、それは公明党に聞いて欲しい。たとえ『匿名の私見』でも答えられない。答えるべきではない」(A氏)

「支持母体として公明党の政策に創価学会はおかしいと思うことはNOと言っています。この5月の安倍内閣の集団的自衛権に関する憲法解釈変更の時はと学会として声明を出しています。大阪都構想については議論が煮詰まっていない段階で、一方的に、橋下市長は公明を悪者にして騒がれておられるなという印象ですね」(B氏)

学会本部職員「安倍自民党はもう用済み」

 時に“官僚”とも揶揄される創価学会幹部らしく、肝心な質問は優等生的解答に終始し、政策に関する事柄は明言を避ける。別れ際、副会長のひとりは、強い口調で、「今回は公明の原点に帰るための戦いだ」と述べた。

 この言葉の意味を現在40代の学会本部職員に謎解きしてもらった。「維新は敵、安倍政権は公明からみればもう用済み」という意味だという。選挙巧者の創価学会の力で公明は自民党を“使い捨て”にできるか。来る総選挙に注目したい。

(取材・文・写真/陳桂華)

「橋下市長の鞍替え衆院選出馬に創価学会幹部「許せないのひと言」」のページです。デイリーニュースオンラインは、解散総選挙橋下徹公明党創価学会大阪社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧