マルコポーロ、氣志團に続いて産経新聞に噛みついた”ユダヤ人団体”

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クレームを受け、氣志團の出演番組は取りやめ。喧嘩上等とはいかなかった
クレームを受け、氣志團の出演番組は取りやめ。喧嘩上等とはいかなかった

 出版界が震撼した「マルコポーロ事件」をご存じだろうか。

 1995年2月、ナチスによるユダヤ人大量虐殺「ホロコースト」の存在を否定する記事を掲載した文藝春秋発行の月刊誌「マルコポーロ」が自主廃刊に追い込まれた大騒動だ。

 その際、同社に対して猛烈な抗議を加えたのが、米国・ロサンゼルスに本部を置くユダヤ人団体サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)である。SWCは文藝春秋に広告を出稿する企業に向けて一斉ボイコットを呼びかけ、〝兵糧攻め〟にすることで、文藝春秋に白旗を揚げさせたのは有名な話だ。

「当時の編集長が解任され、記事に関係した社内の関係者も処分された。この事件以降、出版界の広告への過剰な依存体質などが議論の的になるのと同時に、ユダヤ人批判を自粛する『ユダヤタブー』とでも言うべき状況も生まれました」(出版関係者)

「氣志團の制服がナチス親衛隊に似ている」

 そして、この事件で業界の注目をひときわ集めたといえるのが前出のSWCの存在であろう。

 民間の寄付で運営される非政府組織で、世界中の「反ユダヤ主義」の監視を行っているとされるが、この「マルコポーロ事件」以降、度々日本のメディアでその名を見かけるようになってきた。

「記憶に新しいのは、2011年2月の騒動です。氣志團が出演したテレビ番組で着用した衣装が『ナチス親衛隊(SS)の制服に似ている』とクレームが付いた。番組側は放送予定だった再放送を取りやめ、ホームページから番組の写真も削除する事態になりました」(スポーツ紙記者)

 そんななか、SWCが及ぼす強い影響力を再認識させる〝事件〟がまたもや勃発し、マスコミ関係者の間で話題を呼んでいる。

 コトの起こりは12月6日付の産経新聞朝刊に掲載された「お詫び記事」だ。記事は、『本紙掲載広告に抗議』との見出しで、SWCから11月26日付の紙面に掲載された全面広告に抗議が寄せられたことを伝えていた。記事の隣には、産経新聞社の熊坂隆光社長のお詫びコメントまで載っている。

「問題とされたのは、東海・北陸版の一部に載ったリチャード・コシミズなる人物の著作に関する広告です。『ユダヤ独裁国家アメリカの謀略を暴く』と題した全面広告で、SWCの副所長から『真実を追求するジャーナリズムの責任を売り飛ばした』とかなり強硬な抗議を受けたようです」(代理店関係者)

 そもそも、このリチャード・コシミズ氏、ネット上ではかなりの〝有名人〟として知られていた。ネットジャーナリストを自称し、9.11同時多発テロやオウム事件などの大事件を陰謀と結びつける有名な陰謀論者だ。では、なぜそのような人物の主張が掲載された広告が、全国紙の紙面を飾ったのか。背景には新聞各社の厳しい懐事情がある。

「それほど新聞社の広告収入が厳しくなっているということです。どの新聞も販売部数が落ち込み、それとともに広告の審査基準もどんどん緩くなってきている。今では怪しい健康食品や新興宗教団体など、昔はとても紙面に載らなかったような胡散臭い広告が溢れている新聞もある。今回の一件も、そんな流れの中で起こった〝事故〟ですね」(先の代理店関係者)

 それにしても、SWCの強烈なクレーム恐るべしである。

(取材・文/浅間三蔵)

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