【八王子スーパーナンペイ事件】犯人の指紋報道に公安関係者が嫌疑

デイリーニュースオンライン

警察の“宣伝活動”か(写真は警視庁HPより)
警察の“宣伝活動”か(写真は警視庁HPより)

 約20年前、1995年7月末、八王子市のスーパーナンペイの事務所で、アルバイトの女子高校生2人を含む女性3人が拳銃で頭を撃たれて殺害された、いわゆる「スーパーナンペイ事件」。

 最近はまったく新情報もなく、ほぼ迷宮入りと見られていた。しかし、今年2月、警視庁周辺から女子生徒らが縛られた粘着テープから犯人のものとみられる指紋の一部が採取されていたこと。そして、これが10年ほど前、死亡した日本人の男の指紋とほぼ一致したというニュースが流れ、一時マスコミで大騒ぎになった。

 本当に、この日本人の男が犯人像に結び付くのか。改めて検証した。

被疑者には事件当時アリバイが…

 まず警視庁担当記者が、2月のニュースの背景を言う。

「女子生徒らが縛られていた粘着テープに残ったDNA型などの組織片。それを壊さず特殊な液体剥離剤を使用、粘着面から指紋の一部を採取することに成功したという。しかも警視庁がこの指紋を指紋のデータベースと照合した結果、ある一人の男とほぼ一致した。この男は日本人で10年前、病死で死亡した人物だという。我々もいよいよ犯人像絞り込みかと色めきたちましたよ」

 しかし、公安関係者はこう首をひねる。

「この男は元運送業の日本人。10年前に60代で病死している。事件当時は50代ということかな。そして偶然にも事件当時は東京の多摩地域に住んでいて、また事件現場で目撃されたと同じ白い車を持っていたとして捜査本部から参考人聴取されていたひとりだ。でも今回、騒がれているDNAの件は実は、数年前に我々の間では明らかになっている。しかも当時DNAは、男のものと、ほぼ一致したが、完全一致ではなく、さらに男には事件当時アリバイがあった。だから捜査関係者の間ではシロ説で決定づけられていた。それが今年2月になり改めて浮上したのはなぜか。まあ捜査本部の上のほうが事件から20年の節目と、捜査は継続しているというのを強調するために一部マスコミに流したのでは。俺もシロ説だ」

 つまり、この公安関係者はこう見る。

「被害者が縛られていた粘着テープに元運送業の人間がなんらかの形で触れたのは間違いないだろう。だが、その粘着テープを犯人が入手して犯行に使用したという説が濃厚では」

 同事件ではやはり昨年、カナダ在住の福建省出身の中国人の男が「事件の重要情報を持っている」として警視庁に事情聴取もされたが、事件に関連する供述は得られなかった。

 筆者も事件後、現場周辺や捜査関係者の間を何度も取材した記憶がある。そして判明したのは犯人の靴サイズは24.5~26㎝。被害者は至近距離から発砲され3人とも確実に頭を撃たれていた。

 銃はフィリピン製で命中率が悪いとされたもの。しかし、その銃の難点をカバー、なんなく殺害していることから、相当な銃の扱いになれている人物などだった。スーパーはその後、廃業。現場は何もなく地元でも事件は少しずつ風化しつつある。殺された女子高校生らの魂が安らかになる日はくるのだろうか。

田村建雄(たむらたてお)
1950年生まれ。地方新聞記者から週刊誌記者に。現在は月刊誌、夕刊紙などに政治、事件記事など寄稿。著書に『ドキュメント外国人犯罪』『中国人毒婦の告白』など多数。
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