自衛隊が対峙した「地下鉄サリン事件」知られざる秘話 (4/5ページ)

日刊大衆


「陸自の化学学校のスタッフが、朝霞駐屯地(東京・練馬)で、警察官に化学兵器対処用の装備を用いて、危険を除去する訓練を行ったんです」(同)
とはいえ、これはあくまで上九一色村への強制捜査の準備であって、サリンの無差別テロに対する訓練ではなかった。警察当局も自衛隊も、まさか強制捜査の2日前に、地下鉄サリン事件が発生するとは、夢想だにしなかったはずだ。

しかし、はたして惨劇は起こった……。
「乗客がバタバタ昏倒していく中、真っ先にその対応に当たった駅職員や、消防・警察関係者は皆、猛毒のサリンが原因だとは考えなかったんです。そのため、二次被曝して命を落とした方もいらっしゃいます。現場では、東京消防庁の化学機動中隊の隊員が原因物質の特定を試みましたが、そもそも彼らが使用していた分析装置に、サリンを検出する能力はありませんでした」(前出の黒鉦氏)

混乱がピークに達し、現場が地獄と化す中、唯一「オウムによるサリン散布」を確信し、迅速に準備を行っていたのが自衛隊だった。
「事件発生からわずか29分後には、自衛隊中央病院(東京・世田谷区)に患者受け入れ準備の命令が発動されました。同時に、第101化学防護隊(現在の中央特殊武器防護隊、大宮駐屯地)および、第32普通科連隊(大宮駐屯地)の隊員に、出動待機命令が下されています」(黒鉦氏)

地上には救急車があふれ、路上で昏倒した被害者の治療が行われる中、警察庁から出動要請を受けた陸自の精鋭たちが、次々と現場に急行していった。自衛隊に精通したジャーナリストの井上和彦氏が言う。
「自衛隊以外に、地下での除染作業を完遂することはできませんでした。原因物質がサリンであると特定したのも、自衛隊です。当時は現在よりも、自衛隊に対する風当たりが強かった時代。彼らは理不尽な批判に晒されながらも、粛々と化学兵器に対する備えを行っていたんです」

猛毒サリンの除染作業は困難を極めたという。
「当時、現場で除染作業に当たった隊員は後日、こう言っていました。"色々な訓練の中で、一番現実味を感じなかったのが、NBC兵器への対処訓練です。
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