海上自衛隊「ネットでパワハラ呼ばわり」女性幹部が部下を名誉毀損で提訴

デイリーニュースオンライン

写真はイメージです(海上自衛隊HPより)
写真はイメージです(海上自衛隊HPより)

 海上自衛隊厚木基地(神奈川県綾瀬市)では上司女性幹部による部下女性隊員へのパワハラ事案が最近、明るみになった。「気に入らない部下の配置転換や転勤を強要」「(部下女性隊員が)付き合っている彼氏と別れさせようとした」など、部下のプライベートにまで踏み込んだ厳しい指導を行なったという。が、ここまでなら自衛隊では「よくある話」(厚木基地関係者)で済まされる。

 だが、今回はそれだけでは済まなかった。上司女性幹部によるパワハラと思われる行為に耐えかねた部下女性隊員が2014年6月上旬「自衛官人権ホットラインの相談室」というネット掲示板に先に紹介した行為を上司女性幹部のイニシャルを挙げて投稿したのだ。

 もちろん、一方的に「パワハラ呼ばわり」された上司女性幹部はたまったものではない。弁護士に依頼し、書き込み主の発信者情報を開示させた。そして、これを証拠として部下隊員を名誉毀損容疑で神奈川県警に刑事告訴。既に家宅捜索まで行なわれた。これに留まらず「上司女性幹部は部下女性隊員への民事訴訟も検討しているようだ」(厚木基地関係者)という。

 対して部下女性隊員も民事告訴された場合、反訴も検討しているというから女性幹部と部下隊員双方の泥仕合はもはや避けられそうにない状況だ。

 一報を報じたのは『日刊ゲンダイ』(3月15日付)だったが、この騒動は厚木基地内では、事件関係者が急な転勤をしたこともあり、「上層部を巻き込み、上司女性幹部派と部下隊員派に分かれた内紛にまで発展した」(前出の厚木基地関係者)というから驚きだ。

 事件の舞台となった厚木基地に勤務する男性下士官は、「上司が部下を刑事告訴し、民事裁判の場にまで引きずり出すというのは理解しがたい。いい大人がちょっとネットで自分の悪口を書かれたくらいで“訴える”というのは何とも大人気ない」と上司女性幹部の幹部自衛官としての“資質”に疑問を呈す。

男性の自衛官なら徹底的に隠蔽し、表に出さない

 また男性下士官は続けて、「普通、自衛隊では部下の不祥事はどんなことをしても隠す。直属の部下ならなおさらだ。もっともそうした対応は上司である幹部自身の勤務評定が悪くなるからだが」と自衛隊に蔓延る“隠蔽体質”についても重ねて言及した。続けて男性下士官が語る。

「何年か前、厚木基地では飲酒飛行疑惑が取り沙汰された。ただあの時、なぜ隊内の賭博行為や、隊員の違法賭博場通い、非合法風俗店通いといったものが記事にならなかったのかが不思議だった。それだけ自衛隊は秘密が守れる場だということを実感した。同時にマスコミもあまり調査能力がないとわかった」(男性下士官)

 男性下士官によると、厚木基地に限らず海自の艦艇、陸上各部隊では、隊員による休憩時間中の賭博行為、風俗店通いが頻繁に行なわれており、自衛官ならばこれら全て、“男の遊び”として先輩が後輩にみっちり仕込むのが常識だという。

「男の自衛官ならネットに悪口を書くなんてことはない。気に入らない上司ならぶっ飛ばして終わり。これも自衛隊ではよくある話だ。今回はWAVE(女性自衛官)同士の話だ。ややこしいな。女は……」

“女同士の話”ははたしてどこまで騒動は拡大するのか。今後の行く末が注目される。

(取材・文/鮎川麻里子)

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