インターネットから始まる、新しい映画のつくり方 #1 書籍編 (6/7ページ)
デザインの輪郭

上に紹介した書籍「非道に生きる」でも感じましたが、「映画」をつくる人が映画を観て学ぶことは当たり前です。それよりも、映画とは一見あまり関係のなさそうなところからなにかを学び、自身の映画づくりに「応用」することで、それが映画独自の「視点」となり、より興味深い作品を生み出すことが可能になります。取りかかる前からその確証があると、それだけで安心材料になったりもします。
auのケータイ「INFOBAR」シリーズや無印良品の「壁掛式CDプレイヤー」などを手がけるプロダクトデザイナーの深澤直人さんの書いたこの本には、私たちが普段考える「デザイン的なもの」とは全く違う視点でデザインについて書かれています。
「すべてのものにはデザインがある」と考えている彼のデザイン思想は、きっと映画制作にも応用できるはずです。「ひとが、ひとに、なにかを伝達する」ことがデザインの根本的な意義であるならば、それは映画も同じです。深澤さんのデザインについての考え方は独特でありながら、本質をついています。
例えば、手のひらを描きなさいっていわれたら、ほとんどの人がこの手のひらを描くと思うのですが、その外側の風景を描いても残ったかたちが手のひらになるということを人間はあまり考えないと思います。今おっしゃったことは、手のひらをよく知るために、その外側をよく見なさいというような感じがします。実は、この手のかたちがこの周りの背景によって成されているということで、それがないと、これが何であるかという、存在の認識ができないのではないかと思うのです。