『聲の形』青春の“切なさ”と“残酷さ”をリアルに描いた話題作 (1/2ページ)
2013年2月に、週刊少年マガジンの読み切りに載ったある一つの漫画をめぐりネット上では賛否両論の意見が飛び交い、ツイッターでも話題騒然となりました。
それこそが今回ご紹介する漫画作品『 聲の形 』です。
読み切りが話題となり、その後に週刊連載が始まりました。作者は別冊少年マガジンにて連載され、劇場アニメ化もされた『マルドゥック・スクランブル』のコミカライズをしていた大今良時さん。
■社会的なテーマに焦点を当てた作品
この漫画がなぜそこまでネット上で反響を呼んだのか、それはこの作品が思春期で多感な時期の子どもたちによる『いじめ』を主題に扱っているところです。
一番初めに掲載されたオリジナル版と呼ばれるものや読み切りと週刊連載版では、若干設定が異なっているものの一貫したテーマは変わっていません。
本作のヒロインである『西宮硝子』は先天性の聴覚障害を持ち補聴器なしではほとんど音が聞こえず、言葉を発することも困難で筆談や手話でしか意思の疎通ができない少女。そんな彼女に対して始まったささいな『いじめ』、そのいじめの中心となっていたのが主人公の『石田将也』。
彼はいじめてもなにも仕返しをせずに笑顔を返してくる硝子に対していじめをエスカレートさせていきます。
事が大きくなるにつれて、始めは将也と一緒にからかっていたクラスメイトは離れていき、見て見ぬふりをしていたクラスメイトたちは将也を責め立てるようになり、全ての罪を擦り付けられた将也は孤立していき、今度は将也がいじめのターゲットへとすり変わっていきます。
その後中学でも続いた将也へのいじめは彼をより孤独へと追い込み、人間不信に陥った彼は硝子に対しての罪を懺悔したいと思うようになります。
高校生となったある日、再び転校していった硝子と小学生以来の再会を果たすことから物語は大きく動いていきます。
■嫌悪感さえ抱くリアルな描写
はっきり言って、胸糞悪い!! 一巻や二巻はとにかく読んでて辛いと思えるくらいの内容です。
特に硝子のいじめに対して見て見ぬふりをしていたクラスメイトの掌返しには妙な生々しさ、そして人の心の弱さと醜さを感じさせます。