1984年グリコ・森永事件 元刑事・北芝健が読み解く「未解決事件現場」前編 (5/8ページ)

日刊大衆


「しかし、社員に扮してバッグを持った捜査員は、先頭車両に座ったんです。これは作戦でした。違う場所に座れば、犯人が探し回るかもしれない。すると、その策にかかったかのように、車両を移動する不審な男が現れたんです」

癖毛の頭髪に鋭い目つき……これが後に"キツネ目の男"と呼ばれる人物だ。だが、捜査本部から職務質問の許可は下りなかった。電車内で張り込んでいた7人の捜査員は、尾行するも、京都駅で見失う。
「現場を押さえて、一網打尽にするというのが、本部の方針だったんです。確かに、不審人物を職質したところで、とぼけられたら、それ以上の拘束力はないですからね。下手に動けば、犯人に警戒されます。でも、この男は間違いなく犯人の一味です。なにせ違う現場に再度、現れているんですから」

それが2回目の失態の現場だ。11月に入ってハウスが脅迫されたときのこと。これが一連の事件で最大のヤマ場だったと言えよう。
「ハウスの総務部長宛に現金1億円を要求する脅迫状が届いた1週間後の11月14日、滋賀県にある名神高速道路の大津サービスエリアに向かえとの指示があったんですが、そこに張り込んだ捜査員が、キツネ目の男を目撃しているんです」

一連の事件で犯人が現金を要求する場合、指示のあった場所に行くと、そこには次の場所を指定するメモがあり、そのメモの場所に行くと、またメモが……というケースが多く、このときもそうだった。まず、京都市内のレストランで待つと、国道沿いのバス停に向かえと指示され、そこにあったメモの指示どおりに、京都南インターチェンジから大津に向かったのだ。

」 攻防 3 キツネ目の男になぜか職質せず!?

「大津サービスエリアで犯人を目撃したのは、丸大の取引のときに電車でキツネ目の男を見た捜査員です。さぞ、職質したかったでしょう。しかし、ここでも本部からの指示は"尾行のみ"でした」
またもや警察は、その男を見失ってしまった。
警察官はなぜ、そこまで上からの指示に忠実なのだろうかと思ってしまうが、
「指示を無視するのって、ドラマではよくありますが、現実ではあり得ない。人事考課に赤字で"捜査指示を無視"って書かれたら昇進はストップ、飛ばされることだってあります。
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