1984年グリコ・森永事件 元刑事・北芝健が読み解く「未解決事件現場」前編 (6/8ページ)

日刊大衆

私の知人は、警視庁の本店から新島の派出所に異動になりました。だからと言って、辞めたところで、再就職先の斡旋すらなくなってしまうんです」

警察官の場合、依願退職すると、警察の外郭団体や警備会社などの再就職先を紹介してもらえるのだが、それもない。つまり、指示を無視すると、家族が路頭に迷ってしまう。そのくらい、警察官にとっての捜査指示は"絶対"なのだ。
犯人の指示で現金を持参した捜査員は、大津から草津パーキングエリアに向かうと、今度は"そこから5㎞先のフェンスにかかった白い布の下の空き缶に手紙がある"との指示。しかし、指定の場所に白い布は見つかったが、空き缶はなかった。結局、今度も犯人は姿を現さなかったのだ。

実は、この頃、3回目の失態が起きていた。白い布がかかった付近の高速道路高架下の一般道に白いライトバンが停車しているのを、偶然通りかかった滋賀県警のパトカーが発見していた。警察官が近づくと、ライトバンは急発進、パトカーも追走したが、草津駅前の商店街で見失ってしまう。
その直後、商店街の外れでライトバンは発見されるが、乗っていた男の姿はなかった。車には改造されたアマチュア無線が残されており、その周波数は警察無線の「滋賀一系」にセットされていた。

結果として不審人物を取り逃がした県警、そして今回の現金取引のことを県警の警察官に連絡を徹底していなかった捜査本部……警察は激しく非難された。
「これが一番決定的だったんじゃないかと思います。あのとき職質していれば、展開は違ったでしょうね。ハウスの事件に対する捜査本部の方針は、大阪府警が単独で行うというもので、高速道路から50mのエリアに、滋賀県警は入るなと言われていたんです。滋賀県警は捜査本部から相手にされていなかったんです」

攻防 4 滋賀県警が犯人を追いつめていた!?

3つの失態を見てもわかるとおり、上層部と現場の温度差、封建的な上下関係、自治体ごとに縄張り意識の強い縦割り組織など、警察の体質が未解決になった原因の一つではないかと、北芝氏は指摘する。
「でも、滋賀県警、すごいですよ。

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