吉田豪インタビュー企画:渡辺淳之介「BiSのメンバーのなかで一番成功してるのは僕なんで(キッパリ)」(3) (1/4ページ)
プロインタビュアー吉田豪が注目の人にガチンコ取材を挑むロングインタビュー企画。アイドルグループBiS、BiSHなどのプロデューサーである渡辺淳之介さんをゲストに迎えてエクストリームすぎるプロデュース論を聞いたインタビューも今回が最終回。BiSとは違うBiSHの育成法、ライブなどについて聞きました!
前回記事:「BiSはスクールカーストの最下層系で一般ピープルの星」(1)
前回記事:「BiSでは高熱が出ようが何しようが絶対的に出すようにしてたんです」(2)
■お金をメンバーに還元し、グループをよりお茶の間に広げるために
──BiS解散後、いま手掛けている後継グループのBiSHはかなり平和になったように思えるんですけど、やっぱりBiS時代の反省は相当したわけですよね。
渡辺 しましたね、完全に。
──メンバーをあまり追い込みすぎてはいけないんだな、とか。
渡辺 はい、だからいまは嫌われないようにしてます。
──まずそこ(笑)。
渡辺 まずメンバーに嫌われないようにっていうところと、あとお客さんにも嫌われないように。
──そしてメンバーにもいい給料を払おうっていう。
渡辺 そうですね。ただ、それは会社の問題だったんで、もともと僕が独立した理由もそこだったんです。ホントは僕はつばさにいたほうがよかったんですけど。
──ただ、どうしても会社組織だから、会社のいろんな人を食べさせなきゃいけない以上、BiSがあれだけ体を張っているのにそんなにお金がもらえない状況ができちゃって。
渡辺 そうなんですよ。僕はつばさのなかでは最終的には優遇してもらって好きなものも買えたし全然よかったんですけど、メンバーだけはかわいそうだったんで、だったら違う組織を自分で作ってやったほうがいいんじゃないかって。
──BiSみたいなやり方していると笑顔が見れないということに気づいて、BiSHには優しくして、お金もちゃんと払って追い込まないようにしてるのはすごくいい話だと思うんですけど、BiSの辞めたメンバーは怒るだろうなと思って。「なぜ体を張った私たちは報われなくて、体を張ってないBiSHが!」みたいな。
渡辺 まあ、怒らないんじゃないですか? だって、いまだに辞めたメンバーたちBiSの名前を使ってるじゃないですか。BiSが嫌で嫌でしょうがなくて辞めたはずなのに、何おまえ使ってんだよ、みたいな。何人かのメンバーは「もう芸能活動はしません」とか言ってたのに、舌の根も乾かないうちに「元BiSです」って、嘘でしょみたいな感じでしたけど。
──BiSに複雑な感情はあるだろうけど、ちゃんと利用してるじゃねえかよ、と。
渡辺 だし、それやったらダサいのもよくわかってるだろうから。あとすごい残念な話ですけど、BiSのメンバーのなかで一番成功してるのは僕なんで(キッパリ)。たぶんふつうの人間であれば、僕についてきとけばよかったかなって思うんじゃないかな。でも、BiSはあそこまでしかいけなかったんですよ。
──横浜アリーナまでいったとはいえ。
渡辺 なので、その失敗を活かしつつ、僕というハードが前よりは強くなったので、このハードを使ってもっと売れるには、もっと薄いものをやらないとお茶の間に広がっていかないということに気づいたんですよ。
──あそこまで濃いと、ちょっと好き嫌いが分かれる。
渡辺 そう、好き嫌いが分かれちゃいけないんだって気づいて。でも最初は、ホントに始めたときのクソインディーズの素人のときは、嫌われないと客が増えなかったんですけど、いまは嫌われると逆に客が減る状況になっちゃったんで、意味わかんないんですけどね。僕がやってたエクストリームなものを好きでみんなが観てるはずなのに。
──エクストリームすぎる、みたいな反応になって。
渡辺 はい。おかしいな、みんなもう一回それを求めるんじゃないんだ、みたいな感じはすごいしますね。