WELQ問題の真相を読み解く(1)「DeNAだけが謝って終わる問題だったのか?」~山本一郎×古田大輔×三上洋特別鼎談 (1/3ページ)

デイリーニュースオンライン

やまもといちろう、WELQ問題の真相を読み解く(1)「DeNAだけが謝って終わる問題だったのか?」
やまもといちろう、WELQ問題の真相を読み解く(1)「DeNAだけが謝って終わる問題だったのか?」

『デイリーニュースオンライン』が送る、総合オンラインサロン「世の中のミカタ総研トークイベント」。4月6日(木)は、ホスト役を務める山本一郎、三上洋に加えて、BuzzFeed Japanの創刊編集長を務める古田大輔さんをゲストに迎え、DeNAの「WELQ」に端を発し、「Mery」などの他サイトにも波及したキュレーションメディア問題に関して同社が公表した、合計306ページに及ぶ「調査報告書(キュレーション事業に関する件)」の要点を読み解いた。

キュレーションメディアに関する疑惑は果たして払しょくされたのか、そして、DeNAのメディア事業が抱える本当の「闇」は何だったのか。ネットメディアに精通した識者の面々が、報告書の文面に隠された真実を明らかにする模様を、全3回の連載形式でお届けする。

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山本)改めて今日はよろしくお願いいたします。ということで、『世の中のミカタ総研』とは? というところから。

三上)(編注:プロジェクターに映った自分のプロフィール写真を見て)なんでこの写真から始まるんですか(笑)。

山本)なんか、かっこよくないですか? これ、鼻を切る前の。

三上)ITジャーナリストの三上と申します。このあいだ飛行機で貧血を起こして倒れましてですね、絆創膏をしております。

普段テレビ出ても、街角で指摘されないんですよ。でもこのあいだ三上さんですか?って、眼鏡かけていないのに気が付かれたんです。なんでわかったんですか? って聞いたら、ある番組で、“絆創膏をつけたジャーナリスト”としてツッコまれてしまったため。絆創膏をキャラクターにしていこうかなと…

山本)ありがとうございました。まったくこの会の説明になっていない気もしますが、よろしくお願いいたします。そして今日、ゲストにお越しいただいたのは、BuzzFeed Japanの古田編集長です。

古田)BuzzFeed Japan創刊編集長の古田と申します。よろしくお願いいたします。

山本)今日(古田さんに)来ていただいた大きな理由というのがあって、今回、(問題となった)キュレーションメディアを扱うにあたって、BuzzFeed Japan(の取り上げ方)が大きかったなと思っています。また、DeNA問題を提起した朽木誠一郎さんがBuzzFeed Japanに転職されるとか?

古田)4月にうちに入社して。

三上)あの人!BuzzFeed行ったの!?

山本)そうです。ギャラに惹かれて行ってしまいました。

古田)心意気で。

山本)心意気で。あっ、はい。そういうのもありつつ、今日は中間報告的、総括気味に話をしたいなと思っています。まず、キュレーションサイト問題って何だったんだっけ、という内容なんですが、今夜はDeNAの事例について、細かく内容を読み解いていきながら、適宜古田さんや三上さんのお話を伺いたいなと思っています。

本件第三者委員会報告書ですが、3月13日に、DeNAが第三者委員会の報告書を受け取った後、記者会見を行い発表しました。この中で、責任者に対する一部処分内容も表明しているわけですね。

ただ、この処分内容は、まだ履行されていないものがあります。まだ中川さん(※子会社である株式会社ペロリの代表取締役中川綾太郎氏)も、村田さん(※執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長村田マリ氏)も、この報告書では「A氏」「B氏」になっていますけれども、きちんとした形で処分が履行されたという発表はまだありません。

まだ引き継ぎ等があるということで、広報の方からお話をいただいている状態なんですけれども。なので、今回はあくまで第三者委員会の報告書が出て、DeNA本体が経営的にこれからメディア事業をどう判断するか、というところでしかない。一ヶ月くらい経つんですけれども、まだそういう状態なのかもしれません。

今日はその報告書の中身を見ながら、これって何なんだっけね、ということをお話していきながら、解説をしていきたいと思っています。是非よろしくお願いいたします。

古田)よろしくお願いします!

三上)よろしくお願いします!


山本)これから何の話をするかっていうことを言うと、そもそも「キュレーションサイト問題って何でしたっけ」というキーイシューのご説明をした上で、報告書の中身を細かく読み解いていきたいと思っています。

いろんな角度から今回検証がされているんですけれども、冒頭で申しておきますが、これはものすごく問題をかかえた報告書です。自分らもダスキンやゼンショーといった社会問題を起こしたいろんな第三者報告書を読んできた人間として、今回のDeNAに関する第三者委員会報告書はあまりにも語られていることが少ない。

分量は277ページと厚いんですが、知りたいと思う事柄に関する記述が少ないこともあり、いくつか致命的な問題を抱えた報告書だろうと思っています。いわゆるその弁護士の間の勉強会とかでも、これで大丈夫か? っていう意見が出ちゃうくらいに気になる内容です。もちろんきちんとヒヤリングをしていていいものもたくさん指摘されてはいるんですけれども。

三上)知りたいはずのことが記述されていないのでは、報告書として厳しい部分があるとは業界内でも語られていますね。

■もくじ
1)DeNAキュレーションサイト問題ってなんだっけ
2)第三者委員会の調査報告書が出た内容を読み解く
3)今回の問題で、DeNAが積み残したこと
4)質疑応答

山本)DeNAキュレーションサイト問題の経緯をまず追っていきたいと思います。

我らの朽木誠一郎さんが昨年の9月10日に、キュレーションサイトの問題点として、WELQを名指しで取り上げました。

簡単にいうと、医療系のサイトで、医療的な裏付けがない記事を書いていいんですかという、ごく全うな指摘だったんですけれども、これがいろんな人の心にヒットしてですね、そうか、DeNAの「WELQ問題」というのがあるんだ、という話になってきました。

これが後の展開に関わってくるんですけれども、実はWELQ 問題はWELQだけの話に矮小化されてしまいました。確かにWELQは滅んだんですけれども、問題のある他のいろんなヘルスケアサイトというのが、温存されてしまったという部分があります。これは今回、この問題を認識して騒いで、DeNAだけがごめんなさいをしたっていうところに結構課題を残した、という風にもいえると思います。

有体に申しますと、巷で流れているヘルスケアや医療、健康を標榜するサイトについていえば、他にも死ねと思うところはいっぱい出てくるんですね。とはいえ、じゃあ彼らのどこに問題があるのか。そういう問題のあるサイトが横行するメカニズムと、それを支えるビジネスモデルそのものを第三者委員会がどう検証したのか、っていう重要な部分が、実はあまり出来ていないんです。

WELQは、たまたまある人の指摘で出火することになるんですけれども、SEO界では神といってもおかしくないという辻正浩さんが、「死にたいというワードの検索1位がDeNAのWELQだ」ということを指摘しました。これで朽木さんのまいた油に1本のマッチが擦られて落とされ、DeNAが大炎上していくんですけれども、このあたり、BuzzFeed Japanとして気づいていたことなんか、ありますか? 

古田)そうですね、僕らも、朽木さん、もううちの会社の人間なので朽木っていいますが、朽木が記事を書いた段階で、僕はあの時初めて気づいたんですね。なんかヘンなサイトあるんだねって言っていたら、社内でもやっぱりあの記事に注目した人間が何人かいて。そもそも一部では話題だったじゃないですか。見慣れないサイトがSEOで急激に1位にあがってくる、と。ただ、僕らは医学的な知識がなかったのでよくわからなかったけど、朽木の指摘をうけて本格的に取材しようという流れになったんです。

辻さんの指摘もまさにリアルタイムでみて、コレはもう、本当にやばいサイトだと。それで情報収集を始めたと。その時、僕らがいちばん最初に記事を書いた時の壁が何だったかっていうと、「我々はキュレーションプラットフォームで、一部のライターさんが書いたものについては責任を持てません」というプロ責法(プロバイダ責任制限法)で自分たちを守るという防御壁を築いてきたと。その防御壁をどう崩していったか、というのが僕らの展開だったんです。

山本)まさに、そこからDeNAがずるずると後退をしていく。途中で、「あなたの肩こりは霊の仕業かもしれません」っていう素敵な記事が堂々と出て、これは「肩凝り」で検索した時に検索で6位に出てくるんですね。除霊しましょう、みたいなのが出ちゃう。そのあたりから火がついていくんですけれども、その後なんだかんだいってWELQが陥落したのは2016年11月29日です。

で、この前に、WELQをたたむかたたまないかというのは、広告代理店さんにはその2週間ほど前から、11月15日ですね、ある種内示のような形で「問題になっているので、キュレーションメディアの広告営業をメニューからおろしてもいいですか」っていう話がありました。

この段階で、WELQおよびいくつかのDeNAパレットのサイトで問題が発生したというところで、掲載している広告に関してはお金をお返しします、もしくは企画が進んでいるものに関しては、キャンセルしますという申し入れがありましたと。もう一つあるのは、この会場にもちらほらアドテクをやられている方もいらっしゃいますが、陥落の29日の前に、アドネットワークでデジタル広告を配信する先としてWELQが消えます。

つまりこの時点から、DeNA側が問題を察知して、組織全体で対処しなければならないと認識したという事になります。さらにその後、12月1日、MERY以外DeNAパレットの8媒体が陥落します。これは当時「非表示」といいました。「表示を見合わせます」という言い方をしていたんですけれども、11月30日、8媒体陥落の前日ですね、このタイミングで、DeNAさんから広告代理店に対して、その他の媒体に関しても営業を停止しますという通達がされていました。ただしこれはMERY以外です。

もちろん、DeNAとしては問題のあるサイトなのだから非表示にして解決の道筋を示せば営業再開できるだろうと穏当に考えていたんじゃないかとは思います。

そして12月7日。MERY陥落の話が出ます。同日、12月7日にDeNAが謝罪会見をします。ここからキュレーションメディア全体が後退をしていくっていうことになります。

調査委員会報告書にもありますけれども、この段階で、特損(特別損失)を積み増す、という事をジャッジしたという風に書いてあります。38億円を計上します、というところにようやく来ました。最初朽木さんが書いてから、おおむね3ヶ月でDeNAのキュレーションメディア事業はほぼ全焼という事です。

ただ冒頭に申し上げましたけれども、WELQだけが問題だったんでしたっけ? と。様々な法律上の問題もありますけれども、WELQだけが問題だったのか。もしくはDeNAだけが謝って終わる問題だったのかという議論も出て然るべきだったのですが、そこまでの話にはなかなかなりませんでした。いろいろとくすぶるものがありましたが、第三者委員会を立てるというので、じゃあその中身を見てからDeNAの決意や物事の是非を判断しようか、となるわけですね。

業界に対する影響とは具体的になんなのかっていうと、Webにはいろんなゲスサイトもあれば、2ちゃんねる系まとめサイトもあり、さまざまなジレンマを抱えざるを得なくなるようなメディアが跋扈しています。そうすると、BuzzFeed Japanみたいにデマを潰しに行くぞというサイトもあれば、逆に記事タイトルで釣ったりデマ上等でやっているサイトもたくさんあるんです。そこらへんを見た時に、DeNA騒動っていうのは本当に意味がある騒動だったのかということを、本当は総括しないといけない。

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