ニュース女子は打ち切りでなく介入拒否?MXテレビは売上11%損失の危機に

デイリーニュースオンライン

Photo by guzhongyi(写真はイメージです)
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 沖縄米軍基地の反対運動をめぐる報道で、BPO(放送倫理・番組向上機構)から放送倫理違反との指摘を受けていた番組『ニュース女子』が、今春でMXテレビでの放送が打ち切られると3月1日の『朝日新聞』(デジタル)が伝えた。

 だが、ネットSNS上では、責任を負わされる形での「打ち切り」ではなく、制作会社であるDHCテレビが「MXの番組への介入を拒否」したのが真相ではないのかとの議論が持ち上がっている。

 BPOが問題にしたのは昨年1月6日の放送(第91回)で、沖縄・高江のヘリパッド建設工事に対する反対運動を取材した内容について。「救急車を止めた」との放送内容や「日当」という表現について裏付けの確認をしなかったことなどが、放送倫理違反の理由としてあげられた。番組を制作したDHCテレビも、市民団体「のりこえねっと」からの抗議に反論を掲載し、追加取材をふくむ詳細な検証番組も公開したことから、世論は二分。民放キー局は取り上げなかったものの、新聞・ネットを中心に大炎上していった。

 MXテレビでは当初「事実関係に捏造、虚偽があったとは認められず、放送法や放送基準に沿った制作内容」としていたが、12月のBPO審議以降「改めて、今回の意見を真摯に受け止め、全社を挙げて再発防止に努める」と弱気に。MXサイドは番組の制作に関与したいと申し入れるが、DHC側がこれをキッパリと拒否。その結果、番組自体は引き続きDHCが制作を行うが、MXでの放送は今春でやめることになったというのが、実際の経緯のようだ。

 これを受け、SNS上では「打ち切られたというよりDHCが降りて納品されなくなっただけでは?」「朝日はわざわざ『打ち切り』と書いて、なんか『正義は勝つ』と言いたげ」「番組終了みたいな言い方はおかしい。MXが放送しないだけで地方局やネット配信は普通に続くんだが」など、DHC側の態度を潔しとする声が目立っていた。

 たしかにBPOの指導によって「打ち切り」になるのと、番組制作の独立性を守って放送を中止するのでは印象が違う。朝日新聞は、1月18日には「公平な立場で伝えるという大前提が守られていない」との識者コメントを掲載、28日には社説で「根拠のない誹謗中傷」と批判をくり返していることから、何かしらの「印象操作」が働いた感はぬぐえない。

■最大の被害者はMXテレビ?売上げの11%を失う大ピンチ

 だが、一番の被害を被ったのはBPOとDHCの板挟みになったTOKYO MXという見方もある。

 じつは、DHCはMXテレビ最大のスポンサーでもあり、17年の販売実績は20億8300万円で全体の11.5%に及ぶ。取り引き額2位の通販会社・インターワールドが9億3400万円(5.1%)であることを考えれば、損失規模は、もはや開局以来の存立危機事態か。

報道の自由と、それを抑圧する権力。市民と新聞メディアが権力を振りかざし、資本を持ったスポンサーが表現の独立をかけて戦う。本来はリベラルと保守の立場が、逆のような気がするのだが…。ともあれ、何ものにも屈せず、新時代の報道の自由を切り開くDHCテレビとニュース女子の行方を見守りたい。

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