マーベル映画の達人・杉山すぴ豊さんに聞いた! MCUの魅力は人間くささにあり? (2/7ページ)
――ヒーローたちが遠い存在ではなく、身近なものだと感じるわけですね。
杉山さん そうですね。『スパイダーマン』のピーター・パーカーもヒーローですけど、貧乏で恋もうまくいかないなど普段の生活は私たちと変わりません。それまで「家賃に困っているスーパーヒーロー」なんていなかったですからね。
「ヒーローはコスチュームを洗濯するのだろうか」といったことは誰もが考えるものですが、マーベルはそうしたヒーローやヴィランの日常も描きました。これはマーベルならではの画期的なことです。
――確かにマーベルの登場人物たちはみんな「人間くさい」です。
杉山さん それはヒーローもヴィランも私たちと変わらない等身大の悩みを持っているからだと思います。だからこそ共感できるし、「なんとなく自分と似ている」と思えるのです。「推しヒーロー」が見つけやすいともいえますね。例えるなら、AKB48などのアイドルです。
遠い存在だったアイドルが、会いに行けるくらいの近さになり、個性の異なるメンバーたちが個々に活躍したり、ユニットで活躍したりしているのに似ています。
――なるほど。すごくわかりやすいです。
杉山さん 時代の世相を反映しているのも特徴です。マーベル作品は1960年代から1970年代にかけてブレークしたのですが、ちょうどカウンターカルチャーが隆盛した時代で、その要素を作品にも盛り込みました。
ティーンエージャーや黒人が主役になるというのはその最たる例です。当時はまず見られなかったことですから、その点が受けたのでしょう。ほかにも「正義の在り方」が時代で変わっていくのも面白いですね。ヒーローの敵となる存在も、昔はナチスだったのが今は麻薬組織や腐敗した政府に変わっていっていますから。