【小説】永すぎた春/恋愛部長 (1/6ページ)

ハウコレ

【小説】永すぎた春/恋愛部長

恋愛部長の短編小説「永すぎた春」

■「いつかは結婚する」という確信はあった

彼は、もはや恋人と言う存在を超えていた。

何も言わずに気持ちが伝わって、別に何か特別なことをしなくても、一緒にいれば安らげた。これが、結婚というものなのかな、と真由は思っていた。だから、あえてその一歩を踏み出すことに、必要性も感じなかったのだ。ずっと。

奏多と一緒に暮らしだして、もう5年経っていた。

付き合いはじめてすぐに、奏多のアパートの更新時期が来たので、「お金がもったいない」という理由から、2人で住めるマンションを探した。

以来ずっと、とくに波風も経たずに2人で暮らしてこれたのは、2人が奇跡の相性だったからだと、真由は思う。

「いつかは結婚する」という確信はあった。

だが、逆に、いつかはするものなのだから、すぐにしなくてもいい、というものぐさな心も働いた。5年も一緒に暮していれば、恋人としての恋情よりも、家族としての馴れ合いの感情のほうが勝ってしまう。

結婚には、そのための強いモチベーションが必要だ、と思う。

要するに、「この人を占有したい! 契約で縛りたい!」という強い欲望に突き動かされないといけない、ということだ。

ずっと一緒に暮らしていると、そういう熱い気持ちは、どこかへ行ってしまう。ただただ心地よいぬるま湯のような毎日と、何かを動かすのが面倒だと言う怠惰。

それが結婚までの道を目隠ししてしまう。

「でも、いつかは、するものだから」

真由はいつもそこで思考停止して、考えるのを後回しにしていた。そして、それは奏多も同じだったと思う。

■久しぶりの「新しい恋」に胸をときめかせ・・・・・・

そんなある日のこと、真由は、1人の男に出会った。

通っている英会話教室の忘年会で、たまたま隣に座っていたのがその男、米澤だった。

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