世界三大「説教役者」って? サミュエル・L・ジャクソンらの名説教5選 (9/9ページ)

学生の窓口

伊藤博文(森繁久彌)が児玉源太郎と料亭で会い、日露戦争について相談するシーン。なんとか戦争を避けようとしていた伊藤博文を児玉源太郎が説き伏せます。その「説教」は以下のようなものです。

――いったい、我が国はこの戦争に勝てるんか? 国運を左右する重大な時期じゃ。掛け値のない返事を聞かせてくれんかのぉ

「勝算はありません
恐らく五分五分
死力を尽くして……六分四分か」

――六分四分か。あなたが言うのじゃけぇ間違いはあるまいのぉ

「しかし、しかし閣下
もしこのまま両三年の間現状に甘んじて推移するとすれば
シベリアの鉄道は複線化されて
ヨーロッパにあるロシアの正規軍100万が
たちどころに満州、朝鮮に殺到することになりますぞ
そうなってはもはや戦争にも勝負にもなりますまい
やるなら今です」

――今?

「今を除いて他日はありますまい」

――しかし勝算のない戦を……

「われわれとてモスクワに乗り込んで
城下の誓いをなさしめるほどの
完全な勝利は夢見てはおりません

ある限りの国力で最大の効果を生む
敵地に踏み込んで引き分けに持ち込む

そうすれば世界の列強は我が国の実力を認め
国際政治の圧力で
ロシアの侵略に掣肘(せいちゅう)を加えることができます

これだけが我が国の勝利の道であり
それだけが我々ができる唯一の戦争の仕方です」

――児玉くん!

「閣下、開戦が一日遅れればそれだけ我が軍は不利になり
その分だけ我が将兵がよぶんに血を流すことになりますぞ

閣下!
(二人の間にあった机を脇にやる)
今がご決断のときです!

不肖、この児玉も一兵卒として血を流す覚悟です
場合によりましては
陛下御自ら帯刀戦場に進めて指揮を仰がなければなりますまい

閣下も死んでいただきます
それでも
それでも、今立たなければ
国軍は二度と立つときはないと断言できますぞ
閣下! なにとぞ……なにとぞ……」

このシーンは、おじいさん二人が感極まって手を取り合っているという、滑稽に見えてもおかしくはないものですが、胸に迫る見せ場となっています。丹波先生の説教力とそれを受け止める森繁先生の包容力、二人の名優のなせる技でしょう。

世界三大説教役者の名説教を取り上げてみましたが、いかがだったでしょうか。サミュエル・L・ジャクソン、アル・パチーノ、丹波哲郎の説教、演説は他にもたくさんあります。もし3人の説教・演説が気になったら出演作を確認してみてください。「いよっ! 待ってました!」と声を掛けたくなるかもしれません。

(高橋モータース@dcp)

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