世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第281回 日本の治水事業費の真実

| 週刊実話

 個人的に驚いたのだが、今回の西日本豪雨災害を受け、いまだに、
 「治水対策を減らしたのは民主党で、安倍政権は悪くない」
 といった論調を見かけるので、真実を書き記しておこう。

 確かに民主党政権期に治水対策費が大幅に削減されたのは事実である。とはいえ、それ以上に重要なのは、
 ●そもそも、治水対策費を大幅に減らしたのは、橋本政権、小泉政権という自民党政権。
 ●安倍政権にしても、民主党政権期に減らされた治水対策費を全く増やしていない。
 という「事実」である。

 村山政権までは2.2兆円規模だった治水事業費を、橋本政権が削減を始めた。
 その後、主に小泉政権下で治水対策費は大幅に削減され、2009年(麻生政権)には1.3兆円にまで縮小してしまう。何と年間1兆円近くも治水予算を削ったのだ。それを、さらに民主党政権が8000億円台に減らした。第二次安倍政権発足後にしても、別に治水対策費が大幅に増えたわけではない。相変わらず、8000億円前後をうろうろとしている。

 さて、治水対策を疎かにし、今回の西日本豪雨災害をはじめとする豪雨災害から国民を守らず、「不作為の殺人者」となったのは'09年までの自民党政権だろうか? 政権交代後の民主党政権か? それとも、2013年以降の安倍政権か?
 どう考えても、全員である。そして、これらの政権を発足させ、公共事業を意味もなく否定し続けた日本の有権者にも、相当な責任があると自覚するべきだ。
 「今回の災害は、民主党政権が治水予算を減らしたためで、安倍政権の責任ではない」
 などと主張する人は、一度でも「データ」を確認しようとしたのだろうか。していないはずだ。

 もちろん、安倍政権が治水予算を劇的に増やしていた(せめて民主党政権成立前の水準にまで)というのであれば、話は別だ。民主党が減らした予算を政権交代前に戻したにも関わらず、今回の豪雨災害が起きたというならば、安倍政権の責任は相当に減じるだろう。とはいえ、決してそうではない。
 今回の西日本豪雨災害について、安倍政権に責任がないという虚偽を拡散し、人々をミスリードしている論者は、今後のわが国の治水対策を妨害しているも同然なのだ。

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