日本が直面する「製造業の死」を乗り越える新思想とは (1/2ページ)
日本の液晶や造船、テレビなど、日本産業の代名詞だった製造業が衰退の一途をたどっているのと同様、ほぼすべての先進国で、製造業は新興国の追い上げに遭い、とって代わられようとしている。
特に今はインターネットが普及し、ステルス戦闘機の開発データがハッキングされるような時代である。知的財産権や知的所有権は容易に盗まれてしまう。そして、先進工業国が長い時間をかけて築いた成果ともいえる製品は、新興国の安価な材料費・人件費によってはるかに安い価格で市場に出ることになる。こと製造業において、先進国が新興国と価格競争をするのは無謀だ。
現在ドイツが国を挙げて推進している「Industrie 4.0」は、こうした文脈でとらえると理解しやすい。
「Industrie 4.0」とは情報技術を駆使し、製造業を高度にデジタル化することでマス・カスタマイゼーションを実現するためのプロジェクトだ。
つまり、従来の工業先進国のモデルだった「大量生産」では、資源も人件費も安い新興国には太刀打ちできないため、早晩衰退する。ならば、大量生産(マス)に、消費者個々人に合わせた(カスタマイズ)の要素を加えた製品を生産できるよう、製造業を進化させよう。
「Industrie 4.0」の裏には、新興国に追われ、価値を失いつつある自国の製造業に新たな付加価値をつけようと試みるドイツのこうした危機意識があるのだ。
しかし、「大量生産しつつ、カスタマイズの要素を加える」ことは、言葉ほど簡単ではない。
マス・カスタマイゼーションの基本的な考え方は、製品の部品のうち7割ほどは均一なものを大量生産し、残りの3割で顧客に合わせた何らかのカスタマイズを施すというもの。つまり、生産の過程では、一定数の部品は注文した顧客と結び付けて管理する必要があるが、従来の大量生産を目的とした生産管理システムは、そのための仕組みが脆弱なのだ。
いかに、大量生産の過程で顧客と製品を結びつけて管理するか。