秋津壽男“どっち?”の健康学「住環境の変化で脱水症状に注意。ペットボトルを手の届く範囲に」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「住環境の変化で脱水症状に注意。ペットボトルを手の届く範囲に」

 長期予報によれば、今年の夏は全国的に猛暑となるそうです。先週は水分補給についてお話ししましたが、こういう質問を受けることがあります。

 運動したあとの水分補給は「ミネラルウオーター」と「スポーツ飲料」のどちらがより適しているでしょうか?

 夏になるとダイエットや行動がアクティブになり、運動を始める方が多くいます。夏は他の季節に比べ多量の汗をかきますが、汗には水分だけでなく塩分も一緒に排出されています。つまり、水とともに塩分(塩化ナトリウム)を補給するのが理想的で、塩分を含まないミネラルウオーターよりも、塩分を含んだスポーツ飲料のほうが、体力の回復に適していると言えます。

 もちろん「水+塩」という組み合わせであれば、必ずしもスポーツ飲料にこだわる必要はありません。もしスポーツ飲料がすぐに手に入らなければ、ミネラルウオーターなどの水分と同時に塩アメや梅干し、塩こんぶなどの塩分補給でも十分かと思います。

 さらに言えば、夏は運動時もさることながら、年齢を重ねるほど、室内での熱中症対策に気を配るべきでしょう。その大きな要因は住環境の変化です。かつて、私たちが子供だった頃、日本の家屋は、窓を開け放てば、縁側から涼しい風が入ってきたため、夏は扇風機だけで過ごせました。そうした世代にとって「夏を乗り切るには扇風機で十分」という認識がいまだに根強くあります。その結果、思いもよらぬ脱水症状に見舞われるケースが増えているのです。

 特にマンションなどの機密性の高い集合住宅などでは、昔と異なり、窓を閉めきって扇風機の風に頼ったとしても室内の熱風が循環するだけで、室内の温度は高くなったままとなり、かえって危険です。本来ならエアコンを適切に使っていればいいのですが、いまだに「縁側打ち水」のイメージを持つ世代は、エアコンは贅沢とばかりに、うちわや扇風機で乗り切ろうとしがち。これは命に関わります。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「住環境の変化で脱水症状に注意。ペットボトルを手の届く範囲に」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 7/14号“どっち?”の健康学脱水症ミネラルウオーター秋津壽男社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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