エンタメ作家・冲方丁の"DV疑惑"に隠された思惑(2) (1/2ページ)
イベント中、私が知りたかった事件の真相について、冲方丁さんはまったく言わなかったわけではない。ほのめかすようなことはいくつか言った。それは司会のライターから、奥さんについて聞かれたときのことだ。
「金遣いが荒かったことへの不満はもちろんあった。本にも書いたけど、怒りが強すぎて記憶が書き変わってしまってて(よく覚えてない)。DVはしてません。してたらここにいないですよ」
「家庭円満に向けて夫婦関係を修復するだなんて気持ち悪いよ。できるはずがねえだろ! 妻本人からの連絡はその後一切ない。代理人を通してしか。子どもにも一度も会えてない。子どもに会えない寂しさはある。奥さんに会えない寂しさはあるかって? ないない。あれ以来、妻とは一度も会ってないよ。もし会ったらDVしちゃうかも(笑)」
「正直その発想はなかった。そのやり方がうまいと思った。お金が欲しいんなら(夫を)留置所に入れろと。(だけど)夏休みが終わる1週間前にやることかと思いました。子どもがかわいそうですよ」
父親の事件が報道されることで、夏休み明け、子供たちがいじめられることを危惧しているのだ。気になるのは、ここでいう「その」とは何のことを差しているのかということだ。彼が殴ったのであれば「やり方がうまい」と話すはずがない。冲方さんはあくまで、はめられたのは自分だといいたげであった。
その後、司会のライター氏は、冲方さんに率直なところを訊ねた。
「奥さんがいらっとして警察に飛び込んだというのが真相ですか」
すると冲方さんはとぼけたように、
「そうなの? 本人に聞いてよ」
と言って、それ以上は何も語らなかった。私の睨んだ虚偽告訴、冤罪DVという線についての言及はそれだけだった。
■書籍化によって消された部分イベントの後、私は『冲方丁のこち留~こちら渋谷警察署留置所』を読んでみた。すると、連載時に記されていた事件当時の夫婦関係や事件発生当時のアリバイといったことについてはすべて削除されており、私が知りたいと思っていた、この事件の真相がさらにぼかされた形で、書籍化されていることがわかった。