83歳筆者が考える「近頃の若いものは」論...かつての「太陽族」も今や (2/8ページ)

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それは「アプレゲール」(仏: apres-guerre)という言葉であり、それは戦後派を意味する語である。対義語は「アヴァンゲール」となる。

本来は、筆者が説明するまでも無く、第一次世界大戦後のフランスで、既成の道徳・規範に囚われない文学・芸術運動が勃興したことをさした。

しかし、省略形の好きな日本で「アプレ」という言葉が流行したのは、第二次世界大戦後である。戦前の価値観・権威が完全に崩壊した時期であり、既存の道徳観を欠いた無軌道な若者による行動や犯罪が頻発し、彼らが起こした犯罪は「アプレゲール犯罪」と呼ばれた。

当時、他にも「アプレゲール犯罪」と呼ばれるものは、少なく無かったが、新聞の社会面を騒がし、筆者にも強い印象を与えたのが、この日大ギャング事件と言われるものである。

事件の概要は、昭和25年(1950年)9月22日、東京都千代田区小川町の日本大学の専用車が襲われ、職員の給料約190万円が強奪された。2日後、日大の運転手・山際啓之(当時19歳)とその愛人、藤本佐文(当時18歳)が逮捕される。山際は逮捕の際「オー、ミステイク!」と叫んだため「オー、ミステイク事件」と呼ばれたり、遊び型犯罪だとしてアプレゲール犯罪の一つとされている。

この山際という若者が米国二世の振りをしてみたり、その軽薄な服装や挙動が将に「アプレ」そのものの若者とされたし、また、愛人の藤本佐文が大学教授の娘だったことも(権威や旧来の良識に反するものとして)、大いに高齢者達の顰蹙を買ったものだった。

それこそ、昔からの老人たちの口癖とも言える「近頃の若いものは...」という批判にピッタリの事件であった。

この時代には、ちょっとでも常識のルールから外れたりした若者は、(たとえ、山際のような軽佻浮薄な行動を採らずに)それが、若者らしい意欲的で、斬新な行動であったとしても、「近頃のアプレの若者は」として切り捨てられてしまうことも少なく無かった。

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