スイスで再導入された幻のヤマネコ、「ヨーロッパオオヤマネコ」の野生の姿をとらえた写真と生態系に関する話 (5/10ページ)
それほど大きなネコでもないし、ライオンやトラのようなヒョウ属でもないが、それでもオスの体重は30キロあり、見かけは似ているカナダオオヤマネコのほぼ2倍はある。
このため、かなりの捕食力を発揮することができ、ウサギのような小型動物だけを狙うほかのヤマネコと違って、ノロジカのような有蹄類まで獲物にして生きていくことができる。さらに、気づかれずにこっそり忍び寄る術に非常に優れていて、どこにいようと完全に気配を消すことができる。
オオヤマネコの再導入は、ヨーロッパじゅうで頑なな反対にあったオオカミやクマの再導入計画とはまったく違う。
生態系への深刻な影響は確かに大きいが、オオヤマネコは、よっぽどこちらに未練がない限り、放したとたん、たちまち森の中に静かに入り込んで、すぐに見えなくなってしまう。それゆえ、人間にはこれといった脅威はなく、オオカミのように不安を煽ることのない、"ソフト"な捕食者と研究者は呼ぶ。ゲスリンは言う。「ほとんどの人間にとって、彼らは幽霊のようなヤマネコなんだ」
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image credit:.laurent-geslin
オーストリアのカルカルペン国立公園で、移転準備のため、ヨーロッパオオヤマネコのメスの成獣を捕える、KORAの生物学者フリードリン・ツィンマーマン・自然の生態系は絶えず変化している
ほとんどの人間にはわからないうちに、森の動物たちは変化を察知し始める。ノロジカの個体数は減り始め、森は再生の兆しを見せ始める。ヤマネコの手をかりてシカの数を減らすのは容易ではない。ヤマネコが捕食できるシカの数が多すぎるのだ。
また、捕食者がまわりにいるときの、草食動物の行動の変化が起きる。