2020年以降の気候変動抑制の国際枠組み「パリ協定」 協定脱退の意向を示していた、トランプ氏が米大統領に就任…地球温暖化を前に考える、日本のエネルギー政策 (7/7ページ)
◆ 日本のエネルギー政策において重要な「エネルギーミックス」という考え方
Q. 具体的には、どのようなエネルギー政策が求められているのでしょうか?
現在日本では、「温室効果ガスの排出量を2030年度に13年度比26%削減する」という目標を掲げています。そして、この目標の裏付けになっているのが、原子力、火力、再生可能エネルギーなどを組み合わせた「エネルギーミックス」という考え方です。特に、目標の実現においては、原子力の再稼働が重要なポイントになります。予定通りに原子力の再稼動や、運転期間の延長が進まなければ、前述の26%という削減目標は非常に難しくなってくるわけです。かといって、再生可能エネルギーなどを上積みすることで目標を達成しようとすると、今度は日本のエネルギーコストが上がってしまいます。この場合は、日本経済や産業競争力において、間違いなく悪影響が出てきます。
日本のように国内資源に乏しい国は、いろいろなエネルギー源の強みと弱みを組み合わせていくしかありません。こうした中では、発電コストが低い原子力発電というのも、非常に大事な役割を果たしています。総合的な視点で「ベストミックス」を考えるということが重要と言えるでしょう。ですので、もし原子力発電所の再稼働や運転期間の延長が実現できない場合は、そもそもの26%という目標自体を見直す必要も出てくるでしょう。
トランプ政権が誕生したことによって、日本は今までのようにアメリカの動向をうかがうのではなく、より主体的に国際社会をリードすることが求められるでしょう。アメリカが地球温暖化対策において消極的な動向をみせたとしても、日本は欧州などとの協力関係を強化しながら、「パリ協定」のもとで積極的な役割を果たしていくべきだと思います。
<専門家プロフィール>
有馬純(ありまじゅん) 東京大学公共政策大学院教授
1982年東京大学経済学部卒業。1982年通商産業省(現経済産業省)入省。経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部参事官、国際エネルギー機関(IEA)国別審査課長、資源エネルギー庁国際課長、同参事官等を経て、2008~2011年大臣官房審議官地球環境問題担当。2011~2015年 日本貿易振興機構(JETRO)ロンドン事務所長兼地球環境問題特別調査員。
2015年8月より現職。主な著作物に『精神論抜きの地球温暖化対策――パリ協定とその後』(エネルギーフォーラム、2016年10月)、『地球温暖化交渉の真実―国益をかけた経済戦争―』(中央公論新社、2015年9月)など。
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