世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第211回 潜在成長率の倍増 (3/3ページ)
ただそれだけの話なのだが、経済学者やエコノミストたちは低い潜在成長率を構造改革に利用してきた。
「日本の潜在成長率は低い。潜在成長率を高めるためには、労働投入量を拡大すればいい。そのためには、雇用の流動性を強化し、外国移民を受け入れるべきだ」
「日本の潜在成長率は低い。潜在成長率を高めるためには、資本投入量を拡大すればいい。そのためには、各種の規制を緩和し、企業の投資を促せばいい」
と、日本国内で構造改革が推進され、さらに緊縮財政でデフレが深刻化すると、経済成長率は低迷する。すると「潜在成長率が低い。構造改革が必要だ」という話になり、またまた構造改革が…。
現実には、日本がデフレから脱却し、経済成長率が上昇すれば潜在成長率もまた高まる。実際に内閣府が統計基準を変更し、GDPが約31兆円増えた結果、潜在成長率が倍増したわけである。
ところが、経済成長すればTFPが向上し、潜在成長率は高まるという単純な事実を、経済学者やエコノミストは認めようとしない。どれだけ頭が悪いのか。
繰り返すが、日本は潜在成長率が低いため経済成長しない、のではない。デフレで経済成長していないから、潜在成長率が低いのである。
この当たり前の話を国民が理解し、潜在成長率の低迷を構造改革に利用させないようにしなければならない。日本がデフレから脱却し、GDPが堅調に成長を始めれば、TFP向上により潜在成長率も勝手に上がっていくのである。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。