東京・府中市も戦々恐々 東芝経営危機のシワ寄せが襲う下請けの悲鳴 (1/2ページ)
「財界総理」と称される名経営者を数多く輩出し、日本を牽引してきた東芝の解体危機。東芝と言えば、'15年に約1518億円の不適切会計処理が発覚し、白物家電と医療機器分野の売却で、ようやく落ち着きを取り戻し始めたばかりだった。その生傷も癒えぬ中、今度は米原発事業関連で7000億円規模の巨額損失が判明。絶体絶命に追い込まれてしまった。
金融アナリストが一連の経緯を解説する。
「そもそもは、東芝が'06年に約6300億円で買収した原発事業を手掛けるウェスチングハウス社(WH)が、'15年12月、原子力サービス会社の米・CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社(S&W)を買収したことが発端。そこに7000億円もの巨大負債が隠されていた。手掛けている原発事業の人件費や材料費が高騰し、それらが負債として計上され、さらに膨らむ可能性さえあるのです」
東芝が半導体事業とともに「二本柱」に掲げていた原発事業。その攻めの一つが、ポキリと折れそうなのだ。
「そこに見え隠れするのは、経営陣の詰めの甘さ、ガバナンス不足、企業経営者としての精神の欠如。不正会計問題の背景には、リーマンショックと東日本大震災での原発事故の二大ショックがある。そこで粉飾にかかわった経営陣が、“天下の東芝は儲けを出さなければいけない、俺の代だけは黒字にする”という見栄の部分が勝ち過ぎたため、S&Wの見えざる負債も見抜けないほど、視界不良に陥ったのが原因です」(経営アナリスト)
かくして、今後、東芝は存続できるのか。東芝は利益の8割を叩き出している半導体事業で新会社を起こし、その株の売却で1兆円以上の資金を調達する方向だという。買い手として噂されているのは、アップルやマイクロソフト、シャープを買収した台湾の鴻海精密工業など。しかし、当初は20%程度の株式売却と言われていたが、1兆円となると全体の3分2に達し、東芝は完全に主導権を失う。
東芝中堅幹部が言う
「半導体新会社を手放すとなると、すでに医療機器はキヤノン、白物家電も中国企業に売却しているので、先が見えない原発しかなくなり風前の灯になる。社員や下請け企業の不安は頂点に達しています」
不安が増幅するのは、粉飾事件の先例があるからだ。