消失する日本の往来――「消滅可能性都市」の現在/十津川村(第1回) (8/8ページ)
その村の人口減少が加速している。
取材中、村の人から聞いた逸話に、こんなものがあった。
――遠い昔、紀伊半島を桁違いの大津波が襲った。その津波は熊野の山々を呑み込みながらここ十津川に迫ろうとしていた。そのとき、一匹の犬が、玉置山中腹の杉の木の切り株の上に立ち、大津波に向かって一声「ワン!」と吠えた。すると、猛り狂っていた津波は瞬時におとなしくなり、みるみるうちに引いていったという――
グローバリズムによってできた都市と地方の大きな歪み、十津川を襲う人口減少という津波は、この断層が引き起こしたものだ。次回からは、その景色について詳述する。
筆者:福岡俊弘編集者。1957年生。早稲田大学卒。1989年、アスキー社入社。コンピューター情報誌『EYE・COM』編集長を経て、1997年『週刊アスキー』を創刊、同誌編集長。TBSラジオ『スタンバイ』のコメンテーターなども務めた。現在、デジタルハリウッド大学教授。