世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第244回 内部留保課税という狂気 (3/3ページ)
我々経営者は、需要の安定的な拡大を確信できないからこそ、これだけ人手不足が深刻化しているにも関わらず、人件費の引き上げに逡巡し、さらに生産性向上のための投資に踏み切れないのだ。結果として現預金が貯まっているにすぎず、日本企業の内部留保を増やしているのは「安倍政権」なのだ。
この現実から目をそらし、しかも内部留保を増やしたくないならば「法人税引き上げ」という普通の政策があるにも関わらず、グローバル株主におもねり、配当金や自社株買いを増やすために法人税を無条件で引き下げたのは、繰り返すが安倍政権なのである。
需要拡大と、法人税引き上げという、内部留保抑制のための真っ当な政策(しかも、デフレ脱却に大きく貢献する)があるにも関わらず、そこからは目をそらし、虎の子の企業の現預金に「目」をつける。
明らかに、私有財産権の侵害である。我が国は、いつから共産主義国家になったのか。
結局のところ、グローバリズムのトリニティ(緊縮財政、法人税減税を含む規制緩和、自由貿易)に忠実な安倍政権には、現在の日本経済の問題を解決することは不可能という話だ。内部留保は貯まるべくして貯まっているにも関わらず、そこから目をそらし、企業を悪者にし、私有財産権の侵害の議論を始める。
安定的な需要拡大がない限り、内部留保はひたすら貯まる一方であるという「現実」を、日本のすべての政治家は理解する必要がある。内部留保課税など、狂気の政策である。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。