元国連捜査官が見た北朝鮮「ブラックホール」(9)五輪のあとにはミサイルと核 (1/2ページ)

アサ芸プラス

元国連捜査官が見た北朝鮮「ブラックホール」(9)五輪のあとにはミサイルと核

 2月9日に開幕した平昌冬季五輪では、韓国と北朝鮮が南北統一旗を持ち、合同チームが出場──。なにやら融和ムードが漂い、国際的な緊張が緩和するかのような雰囲気の中、当の北朝鮮が考えているのはやはり、スポーツの祭典を利用した核ミサイル能力の誇示だった。そんな国に対し、日本政府の制裁への認識はあまりに大甘だったのである。

 対話機運を盛り上げたい韓国と国際包囲網の分断を狙う北朝鮮。それぞれの思惑が交差する中、「南北融和ショー」とも揶揄される平昌五輪が幕を開けた。

 これまで、北朝鮮が世界に広げる武器密輸ネットワークと、その中で暗躍する日本人の存在について伝えてきた。今回からは、最終章として北朝鮮による五輪参加の狙いとその後の動向、そして北朝鮮に対し日本が講じる措置について、である。引き続き解説してくれるのは、国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会「専門家パネル」元委員の古川勝久氏である。

 革新系として昨年発足した文在寅政権は、早い段階から北朝鮮へ五輪参加を提案。だが北朝鮮は返事の代わりに核実験や弾道ミサイル発射を繰り返し、年が変わると態度を急変、参加を表明した。

「北朝鮮は昨年秋から、経済発展を優先する姿勢を徐々に強めています。88年のソウル五輪の時にも、前年に大韓航空機爆破事件があり、南北関係が冷えきっていました。アメリカは当時、対ソ連強硬派のレーガン政権でしたが、北朝鮮に対する方針を転換。孤立化させるのではなく、逆に大会期間中、北朝鮮が悪さをしなければ寛容な政策をとる方針に転換しました。米朝の外交官の会談が始まると、アメリカが北朝鮮に限定的な人道支援を行い、北朝鮮は反米プロパガンダをやめるなど、信頼醸成がなされた。経済制裁の解除という大きな話ではなく、双方の信頼関係構築に向けた小さなステップでした。しかしその後、徐々に米朝関係の改善、ひいては南北関係の改善にもつながり、91年の朝鮮半島の南北対話に関する合意や、92年の米朝核協議開催が実現した。今回の五輪を契機に、韓国が米朝間の信頼関係構築に向けたプロセスを築けるか。ここが重要なポイントになるでしょう」

 これまでも南北のスポーツ交流は幾度となく行われてきた。

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